FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。BOC(加中央銀行)は4月20日、3月同様政策金利を据え置いた。しかし、同国経済は予想より高い成長率を成し遂げているとの見解を改めて示し、早ければ6月にも利上げに踏み切る可能性を示唆している。

カナダ60種株価指数は高値圏を維持

実際、直近の経済状況を見ると、マクロベースでは2009年度第4四半期の実質GDP成長率が、前期比で年率5.0%と2000年度の第3四半期以来の高さを記録した。失業率は昨年8月の8.7%から8.2%まで低下している。また車販売台数は、1月のマイナス0.1%からプラスの8.1%へ急上昇すれば、資源価格の高騰により大手資源企業もその恩恵を受けている。基本的に利上げ観測は株式市場にとってはネガティブ要因だが、これらのことを背景にカナダ60種は早期利上げ観測を消化しつつ、高値圏を維持している。

本日は、21:30に3月の景気先行指標指数、23:30に加・BOC(加中央銀行)金融政策レポートが発表される。景気先行はプラス0.7%と前回の0.8%と比較しほぼ横ばい。焦点は後者の金融政策レポートで引き締めトーンだろう。仮に市場が予想しているよりも上げ幅が大きいとの観測が市場で広まれば、一時的な下落要因となろう。政策金利発表後の声明文と同様の内容ならば、市場はすでに織り込み済みであることから、25日MA&700ポイントを意識しながら上値を試す展開になると思われる。

カナダ60種株価指数 日足

テクニカルで見ると、心理的ラインである700ポイントを突破して以降、同ラインがサポートラインとして意識されている。

また、25日MAもサポート要因として意識されていることから、今後もカナダ60種は底堅い展開が継続し、更なる上値をトライする可能性が高いと思われる。

その際上値ターゲットとして、750ポイント、2008年9月下旬の高値水準780ポイントレベルが浮上しよう。

一方、調整色が強まった場合は、700ポイントのラインはもちろんだが、50日MAそして長期サポートラインが下値ポイントとして意識されるか注目したい。

仮にサポートラインをブレイクしても、その下には200日MAが670ポイントレベルまで上昇しており、ここまでの下落なら調整の範囲内と言えそうだ。

投機マネーが金相場に再流入

米金融大手ゴールドマン・サックスが証券詐欺罪で提訴されたことで、金相場は一時1,124.30ドルまで急落した。しかし、今週に入ってから良好な米有力大手企業の決算が続いており、これが下支え要因となっている。例えば19日はシティ・グループ、20日はゴールドマン・サックス、本日はモルガン・スタンレーが1~3月期の収益拡大を発表している。

また、金融以外にも自動車大手クライスラー、航空大手ボーイングなど、大手製造業でも好決算を発表しており、投資家マインドが改善されリスク投資再開の動きを促している。したがって、ゴールドマンの提訴によるパニック売りも、今となっては適度なポジション調整を促したかたちになり、投機マネーが金相場に再流入している。

一方、安全資産としての退避需要が旺盛で、金上場投資信託(ETF)経由での持ち高は、4月21日時点で1141.04トンとなっており、ドル高に逆行して堅調地合いを維持しているが、未だギリシャ問題で対ユーロでのドル高傾向が続いていることは、金市場にとってネガティブ要因になるだろう。

これらのことを踏まえ、当面は1,100~1,150ドルのボックス相場を想定している。しかし、やはり世界的な景気回復の影響は大きく、ボックス圏でもみ合ったエネルギーが、いつ上にブレイクしてもおかしくない相場環境にあると思われる。

テクニカル面では、オシレーター系のSTC、RSIともゴールデンクロスを形成したので、トレンドラインを大きく割れない限り、押し目買い対処で構わないと思われる。

NY金先物(6月限)日足

また、一目均衡表を見ると、今夜あたりしっかり転換線を超えてくれば、さらに地合いは強まる見通しとなろう。

NY金先物(6月限)日足

最後に、ボリンジャーバンドを見てみると、平均線で綺麗に反発している。現状はバンドが収束気味だが、+1σを抜けてくれば、再び強気継続となる可能性が高まろう。