パナソニックは、同社が全額出資する兵庫県姫路市の「IPSアルファ姫路」の量産稼働を4月12日から開始した。

IPSアルファ姫路は、IPSα方式の液晶パネルの生産拠点で、32型で18面取り、42型で8面取りが可能な第8世代と呼ばれる基板サイズで生産。第1期の生産能力として、32型換算で月40万5,000台のパネルを生産できる。

2008年7月に着工を開始。当初は2010年1月に稼働を予定していたが、経済状況の動向を踏まえて、2010年7月に稼働を延期していた。だが、急激に回復しはじめた薄型テレビ需要に対応するため、2009年末から設備導入を開始し、3カ月前倒しで量産稼働を開始した。32型および42型向けのパネルを生産することになる。

同工場では、液晶パネルの生産だけを行い、組立設備は持たない。生産された液晶パネルは、主にパナソニックの薄型テレビの組立工場向けに出荷され、薄型テレビとして全世界に出荷される。

約36万1,000平方メートルの敷地に4階建ての生産棟を建設。建屋、原動、設備費用を含んで2350億円を投資している。当初計画では3,000億円の投資規模だったが、650億円を抑制した。

IPSα方式ならではの高効率ラインを実現しているのが特徴で、液晶パネルの露光工程の処理回数を削減することなどで、生産リードタイムを短縮し、投資生産性を大幅に高めることができるという。これにより、「スピーディーでタイムリーな液晶パネルの供給が可能になる」(パナソニック)としている。

また、従来の生産施設に比べて、工場の水使用量を35%削減するほか、CO2排出量を23%削減。32型1台あたりの生産エネルギーコストを約2割削減するという。

2010年度中には、32型換算で月産81万台の生産規模に拡張する考えであり、すでに稼働している茂原工場の月産60万台体制とあわせて、月141万台の生産体制が整うことになる。

パナソニックでは、「IPSアルファ姫路が注力する32型と42型は、日米欧の先進国における2台目、3台目需要の拡大とBRICsをはじめとする新興国市場における需要が顕著に拡大している分野。2011年に2億台を超えるといわれる薄型テレビ市場のうち、32型が35%以上、42型が20%以上を占める2大ボリュームゾーンとなる。業界最高レベルの動画解像度や視野角特性を有し、高い透過率で省エネ性能とコスト競争力を両立するIPSαパネルの需要はさらに増大すると期待している」としている。

液晶パネルを生産するIPSアルファ姫路