既報のとおりNHN Japanによるライブドア買収が明らかとなった12日、両社は本件に関する共同会見を開いた。株式会社LDHが持つ株式会社ライブドアの全株式をNHN Japan株式会社に譲渡する。取得金額は約63億円。「livedoor」ブランドなどは維持する方針。

買収について発表する森川亮 NHN Japan代表取締役社長(左)と出澤剛 ライブドア代表取締役社長

NHN Japanグループはライブドア買収により、インターネットゲームポータル「ハンゲーム」、ネット検索「NAVER」、ポータル/ブログ「livedoor」、データセンター「DATA HOTEL」の4事業分野を展開することになる。「中核事業として、ハンゲーム、NAVERとともに、ライブドアを成長させる」(森川亮 NHN Japan代表取締役社長)。ライブドアはNHN Japan子会社となり、現在の雇用や組織体制、運営ポリシーなどは維持される。サービスの閉鎖予定などもない。

ライブドア買収の狙いについて森川氏は「グループの事業拡大もあるが、(検索サービスの)NAVERとのシナジーに期待している」。今後の戦略として、まとめ検索や統合検索が好評を得ている検索サービスNAVERを、ロボット型検索と集合知を組み合わせた「サーチコミュニケーションプラットフォーム」へ進化させると説明。集合知の強化という点で、「(ブログやWikiなど)ユーザー参加型のサービスを抱えている」ライブドアのコンテンツの情報価値が高いと判断した。これからはNAVERの検索技術とライブドアのサービスをつなげていく中で、「日本から新しい検索のトレンドを生み出していきたい」(森川氏)と話した。

一方ライブドアは、2006年1月のライブドア・ショック以降も、ブログ事業の黒字化やメディア事業、データセンター事業など成長を見せてきたが、親会社LDHの係争などにより新規事業への投資が難しい状況にあった。それが買収により変わる。「資本移動で問題がクリアになった。いままでが"再生フェーズ"としたら、今回は"本格成長フェーズ"への移行」(出澤剛 ライブドア代表取締役社長)。海外展開や積極的な投資も行なっていく。

検索サービス面での具体的なシナジー策については今後の発表を待つことになるが、「ハンゲーム」での効果的な連携も模索するとしている。

株式譲渡予定日は5月10日。ライブドアは本件に先立ち、株主であるLDHに対して約30億円の配当を実施する。また、本件に関するLDHからのリリースによると、ライブドア株のほか、同人向けデータ販売サイト「DLsite」などを運営する株式会社エイシスの全株式を19億円でゲオに売却するとしている。

NHN Japanが運営する各サービスの概況は次のとおり。ハンゲームの登録会員数は約4,000万人(10年3月末)、年間売上約120億円(09年12月度)、NAVERの利用者数は250万人/月、ポータルサイト「livedoor」は約23億PV/月、利用者数約3,000万人/月。