iPhone OS 4正式版は今夏にリリース予定で、8日(米国時間)から開発者向けDeveloper Preview版の提供が始まった。iPhone OS 4のすべての機能に対応できるデバイスは、iPhone 3GSおよび第3世代iPod touch。iPhone 3Gおよび第2世代iPod touchもアップグレードできるものの、ハードウェア性能からマルチタスキングなど利用できない機能がある。また今秋にはiPad向けアップデートもリリースされる予定だ。

iPhone OS 4にフルアップグレードできるのは、処理性能に優れたiPhone 3GSまたは第3世代のiPod touch(2009年後半以降の32/64GBモデル)のみ

Appleの戦略的な一手

Q&Aでは、参加者から今月後半のiPadのグローバル発売への影響が指摘された。夏にiPhone OS 4がリリースされるのならば、iPhone OS 3.2搭載のiPadを買い控える消費者が出てくるかもしれない。今回のプレビューイベントの招待状がゲストや報道関係者に送られたのはイベント開催の3日前。iPadの米国発売の5日後に、iPhone OS 4を語るという何とも目まぐるしい状況だ。こうしたドタバタからiPadとiPhoneのリリースが戦略的にスケジュールされていないと見ている。

だが、筆者の印象はまったく逆だった。3日(米国時間)に米国で発売されたiPadを入手し、5日間ほど使用してきたが、決定的に不足していると思う機能がマルチタスクなのだ。シンプルなWebブラウジングや電子メールなどにiPadは強く勧められるが、Webブラウザで調べ物をしながらワープロで文書を作成するという作業には向かない。だから「ネットブックの代わりになるか?」と聞かれると、すぐには返事ができない。

この問題がiPhone OS 4で解決する。iPad向けに秋にiPhone OS 4が登場するというのは、むしろ今iPadを買おうか悩んでいる人を後押しする情報になる。同時に4月上旬にiPhone OS 4がプレビューされれば、昨年~一昨年同様にiPhone新モデルが夏に登場するのではないかという期待が高まる。日程はタイトだが、Appleは戦略的な一手を打ち続けているように思える。