三洋電機は、2010年4月からスタートする「改正省エネ法」にあわせて、同社の取り組みについて説明した。

改正省エネ法の概要

改正省エネ法に関するスケジュール

改正省エネ法は、企業におけるエネルギー消費量削減を求める法律で、各事業者は、エネルギー使用量の集計管理や国への届出義務、エネルギー消費量低減の努力義務などが生じる。従来は工場/事業場単位であったものが企業単位に変更。全拠点の総エネルギー使用量が原油換算で年間1,500kl以上となる企業はすべて特定事業者になる。また、コンビニエンストストアなどのフランチャイズ展開している企業も特定連鎖化事業者に認定されるなど、対象範囲が広がっており、これまでに比べて対象企業は2倍以上になると見られている。

対象となる企業は、企業全体でのエネルギー使用量を把握し、エネルギー使用状況届出書の提出や、管理標準の作成、エネルギー管理統括者などの選任、企業単位でのエネルギー管理の実施、中長期計画書および定期報告書の提出が義務づけられる。今年3月までは自主的にエネルギー使用量を把握する段階にあったが、改正省エネ法のスタートにあわせて、4月から6月にかけて経済産業省に使用状況の届け出を行い、7月に指定を受けたのち、8 - 9月には中長期計画書および定期報告書の提出を行うことになる。

三洋電機 コマーシャルカンパニー 冷熱技術開発センター 中曽根純也部長

三洋電機 コマーシャルカンパニー 冷熱技術開発センター 中曽根純也部長は、「日本においては、業務その他部門でのCO2排出量の増加が際立っており、2008年度には、90年度比41.3%増の排出量となっている。6%削減という京都議定書という目標に対しては、逆に増加傾向にある。また、そのなかで『卸小売・デパート・スーパー』『事務所・ビル』がCO2排出量の2大排出源となっており、全体の40%を占めている。まだ、改正省エネ法に関する認識が低いというのが実態で、4月に施行されてから意識が高まってくるだろう。6月までに使用状況を届け出る必要があるため、ゴールデンウイーク明けぐらいから、動きが活発化してくることになるだろう」としている。

業務その他部門でのCO2排出量増加が目立っている

そのなかでも卸小売、事務所・ビルが排出源になっている

三洋電機では、省エネルギー化に貢献する独自技術の製品/サービスを提供しており、改正省エネ法においても、同社の技術/製品群が寄与できるとしている。

三洋電機の改正省エネ法に対応した製品群

具体的な製品として、店舗向け省エネシステム、ビル・オフィス向け省エネシステム、エネルギー計測サービスを用意。店舗向け省エネシステムでは、店舗統合管理システムとして450店舗への導入実績を持つ「エコストシステム」、コンビニエンスストア向けの省エネルギー融合システムとしてすでに2,300店舗への導入実績を持つ「コンビプラスシステム」、ビル・オフィス向け省エネシステムでは、小規模施設やオフィス向け空調制御機器として500件への導入実績がある「e-CUTコントローラ」、100セットの導入実績を持つ大規模施設およびビル向けの空調統合監視・制御システム「STAIMSシステム」があるとしている。とくに、STAIMSシステムには、新たにカメラ省エネシステム機能を追加して、これを5月までに投入する。

従来のオフィスの空調は、いくつかのゾーンにわけて運転を制御していたが、STAIMSシステムのカメラ省エネシステムでは、ハイビジョン対応カメラを設置し、空調ゾーンの人数を検知し、該当ゾーンの空調を制御するほか、照度検知機能を追加することで、人と照度を検知し、該当ゾーンの照明制御を行う。また、外気導入量も空調ゾーンの人数により制御できるようになるという。「空調制御をさらに細かくできるのに加えて、照明に関しても省エネ化が図れるようになる。照明に関しては、パナソニックグループとしての連携を生かして、パナソニック電工の調光型の照明と連動させることで、より効率的な省エネ化が実現できる」という。カメラ省エネシステムの価格は、1万2,000平方メートルの導入例で、550万円程度としている。

店舗統合管理システム「エコストシステム」

コンビニエンスストア向け省エネルギー融合システム「コンビプラスシステム」

空調制御機器「e-CUTコントローラ」

大規模施設およびビル向けの空調統合監視・制御システム「STAIMSシステム」

カメラ省エネシステム

カメラ省エネシステムによる制御例

カメラの設置状況の例

カメラ省エネシステムで人数を検知して制御する画面

また、同社では、2001年から提供している遠隔監視サービスに、2010年3月からエネルギー計測サービスを追加。遠隔監視センター「ERMOS」により、エネルギーの見える化を実現するという。

遠隔監視センター「ERMOS」で見える化を図る

「遠隔監視サービスはこれまでに2,500件の実績がある。今回のエネルギー計測サービスにより、どこで、どのぐらいエネルギーを使っているのかを把握することができる。それをもとに、異常値や増大要因の確認、改善のための店内運用調整、さらなる省エネのための電力確認といったCAPDサイクルを回すことができるようになる。計測したエネルギーテータは、群馬県の三洋カスタマーサービス内のデータセンターに3年間保管する」という。エネルギー計測サービスでは、1日の時刻別消費電力量のほか、系統別、各端末ごとの消費電力量を細かく計測できる。

ERMOSによるエネルギー計測サービスの例

さらに、同社では、改正省エネ法支援サービスとして、現場調査・エネルギー計測のほか、使用状況届出書作成支援、中長期計画書作成支援、管理標準作成支援、省エネ診断などを提供する。

三洋電機では、2010年度の計画として、改正省エネ法関連ソリューションとして、店舗、コンビニエンスストア、ビル、オフィスなどを含めて、500ユーザーの新規獲得を目指す。空調機、ショーケース、厨房機器などの業務用聞きの省エネ機器の提供、全体最適システカメラ省エネシステムの提供、店舗まるごとおよびビル丸ごとの省エネソリューションを提供していく」としている。

三洋電機が提供する改正省エネ法支援サービス