為替テクニカル

FXオンラインジャパン アナリストチームが最新のデイリーレポートをお届けする。ドル円は先週に引き続き、レンジ相場というよりは、方向感なく小幅な値動きに終始しており、このまま来週の2月の米雇用統計は発表まで大きな値動きは期待できないかのようなムードが漂っている。動かす要因と言えば、ギリシャ支援問題か中国の金融引き締め懸念だろう。

USD/JPY 日足

しかし本日の売買材料に限れば、18:30に英国の消費者物価指数発表が予定されている。市場予想は前月比より改善されているとのことだが、予想以上の強い内容となれば、ポンド円を中心にクロス円での円安基調が強まることが期待される。また、NYタイムに入ると23:00に2月の中古住宅販売件数が発表される。こちらは前月よりも若干下回る予想となっており、内容如何では23時以降ドルの売り買いが活発化することも考えられる。

想定レンジは90-91円と考えられるため、上記の経済指標によりどちらを試しに行くかが、焦点になる。90円ミドルを越えるようならショート、下回るようならロングでこまかく切り替えていくのが現状のボックス相場では無難だろう。更にトレードの目安として上げるなら、21日MAか。現在90円のラインに重なる水準にあるため、短期スパンのロングポイントとして注目したい。

USD/JPY 15分足

上記をもう少し詳しく見るために短期(15分足)で分析すると、90.24円を下抜ければ90.10円と90.00円のラインが見えてくる。日足でも15分足でも、90.00円が一つのロングポイントであることが確認できる。

逆に上は、90円ミドル手前の90.40円が意識されているのか、未だに抜け切ることが出来ていないことがわかる。上はこのレベルを見ておきながら、突破したところをオシレーター系のSTCやRSIを併用し細かくショートシグナルが点灯しているかを確認しながら追って行くのが良いだろう。

尚、どちらの指標発表後も、現状ニュートラルの状況が続いているドル円主体というよりは、クロス円での値動きに追随すると思われるため、ユーロやポンドの動向に注視しながら、ドル円のポイントを探る手法が良いだろう。

ヨーロッパ概況

ソブリン・リスクに対する不透明感が払拭されない中、為替市場でかなりの水準まで積み上がったユーロショートの解消が進行するかが注目される。

現在のユーロドルのオーダー状況を見ると、オファーはやはり1.35後半から1.36のラインレベルに並んでいると思われる。この水準を突破すればストップを巻き込みショートカバーに勢いが出る可能性が高まる。逆に下は、1.35前半から1.35のライン付近でビッドが観測される。本日はどちらのレンジをためすかによって、リスクの流れをつかむことが重要となろう。

本日も欧州連合(EU)首脳会合を前にしてギリシャ支援問題に関し、鍵を握るドイツから、何らかの言動が発せられるかどうかを見極める必要があろう。今週の25~26日に開催予定の欧州連合(EU)首脳会合で、早くも支援合意に対して『成立する見通しは低い』と、独メルケル首相が言及した。また、独政府当局者からも『ギリシャからの要請が未だないため、支援に関しては決定せず』とのコメントも聞かれる。ギリシャが財政赤字削減に向け、国内で更に大規模なストやデモが発生しようと実行する必要があることは理解できるが、ギリシャ一国だけで再建可能な問題であると、市場は考えていない。EUの担保があればこそのユーロショートカバーという側面もあったが、その期待感が薄れれば1.35割れを目指す可能性が強まろう。更にIMFに関するフランスの駆け引きも撹乱要因になる可能性もある。

また、インドの利上げも気になる。昨日0.25bp引き上げ政策金利を3.50%としたが、新興国ではインフレリスクの高まりが依然から懸念されており、中国も追随するとの観測が欧州タイム以降強まれば、資源系を中心にリスク回避が強まる公算も出てこよう。そうなれば株式下落→商品下落→ドル&円高の状況になる可能性も出てくる。更に為替政策を巡る米中摩擦もリスク要因として潜んでおり、いくらユーロショートが積み上がっているとはいえ、最終的にはファンダメンタルズで判断される以上、下落1.36近辺からの上値追いは避けたいところ。

尚、本日の欧州経済指標は、18:30に英国の2月消費者物価と小売物価が発表される。前年比では共に横ばいか低下しているとの予想となっており、依然として景気リセッションからの回復力は弱い印象を受ける。仮に市場予想を上回った場合、一過性のポンド買い戻しが誘発される可能性が出てくるが、EU首脳会合での内容を見極めたいという思惑から、1.52台へ到達するのは難しいと思われる。

ただ、弊社トップムーバーズの項でも言及したように英株式は業績相場が牽引し、ソブリン・リスクもなんのその、リーマン・ショック前の水準まで回復しており、金融株や商品相場が堅調な値動きとなれば、5,700ポイントへ向けて期待が出てくるといったシナリオも考えられる。

GBPUSD 時間足