富士通は3月1日、日本原子力研究開発機構(JAEA)と共同でJAEA向けスーパーコンピューティングシステムを構築、3月1日より稼働を開始したことを発表した。

JAEAにて2010年3月1日より稼働を開始したスーパーコンピュータシステムの外観

同システムは、3つの異なる用途の計算サーバシステム(大規模並列演算部、次世代コード開発部、共有メモリ型演算サーバ)からなる複合システム。中核となる大規模並列演算部は、富士通のブレードサーバ「PRIMERGY BX900」2,134ノード(4,268CPU、1万7,072コア)を高速インターコネクト技術「InfiniBand QDR」で接続することで、高性能な並列環境を実現している。

また、次世代コード開発部に「FX1」300ノード、共有メモリ型演算サーバにUNIXサーバ「SPARC Enterprise M9000」1ノード、ディスクアレイ装置に「ETERNUS DX80」36台を採用。

JAEAの新スーパーコンピュータシステムの構成図

3つの計算サーバシステムには、すべて富士通のHPCミドルウェア「Parallelnavi」シリーズを採用することで、共通のプログラム開発・実行環境と一元的な運用管理による高い利便性を実現したという。

同システムのPRIMERGY BX900(2,134ノード。理論ピーク性能200TFLOPS)を活用したLINPACKベンチマーク性能測定結果は、実行性能186.1TFLOPSで、2009年11月時点のTOP500と比較した場合、日本1位、世界でも19位の順位となる性能を達成している。

富士通では同測定結果は、PRIMERGY BX900にParallelnaviとプログラムチューニングなどのシステム構築技術を結びつけることで実現したものとしており、特に、ブレードサーバ間の高速データ転送を実現するため、各ブレードサーバにInfiniBand QDRカードを2枚搭載し、片方向最大8GBpsのデータ転送を実現したことが大きいとしている。また、Parallelnaviの科学技術計算ライブラリは、富士通研究所の技術を活用した世界トップレベルの性能のもので、LINPACKの測定結果にも貢献したとしている。

なお、JAEAでは、同システムの導入により、膨大な計算需要に対応可能になることを期待するほか、同システムを活用することで、2012年に稼働する次世代スーパーコンピュータの利用に向けたコード開発も進めていく計画としている。