EMCジャパンは2月23日、同社のハイエンドストレージ「EMC Symmetrix V-Max」の機能拡張を発表した。Symmetrix V-Maxは「EMC Virtual Matrix」技術ともに2009年4月に同社から発表された製品で、今回の発表により、その機能拡張部分がオプションとして提供される。

左の2つが新機能を搭載したSymmetrix V-Max。一番左がV-Maxエンジンを最大8個搭載できる4 Enginseモデル、真ん中がシングルエンジンのSEモデル。右は一世代前のSymmetrix

Symmetrix V-Maxの機能拡張として提供されるのはおもに以下の3つ。

メインフレームとオープンシステムの両方に対応した高速接続

ファイバチャネルとメインフレーム向け接続形態であるFICONの両方において、8Gb/秒のスピードで接続を実現。メインフレームとオープンシステム向けのフロントエンド接続がともに8Gb/秒を実現したのは業界初となる。ストレージ間のリモートレプリケーション(ファイバチャネルSRDF)も8Gb/秒で実現。

ストレージを大幅に節約する仮想プロビジョニング機能

物理環境(シックボリューム)から仮想環境(シンボリューム)へデータをリプリケーションする「TimeFinder/Clone」ソフトウェア、ストレージプール内の未使用スペース(ゼロスペース)の再利用、ニーズに応じてストレージプールを拡大/縮小する自動再配分機能などにより、ストレージの拡張と再利用を容易にする。

プラグイン&スケールアウトが可能なストレージ構成

Symmetrix V-Maxを構成するエンジンあたりのサポート容量を拡張、これまで2エンジンで480ドライブまで搭載可能だったが、新オプションにより1,200ドライブまで搭載可能に。4エンジン構成の場合は2,400ドライブまで可能(最大エンジン構成数は8)。

4 Enginesモデルをバックから見たところ。ダイレクタ2つ + I/O部で1つのエンジンを構成する(上から3つのパーツで1つのエンジンを構成している)。キャッシュは1エンジンあたり64GB(4エンジンなら256GB)、4エンジンでの最大容量は1.8PB

これらの新機能により、「従来の半分のエンジン構成で、電力費/冷却費などを含む総コストを約20%削減し、同時にサービスレベルの向上を図ることが可能になる」(EMCジャパン テクノロジー・ソリューションズ本部 プロダクト・ソリューションズ統括部 マネージャー 笹沼伸行氏)という。なお、仮想プロビジョニング機能については無償で提供され、すでにSymmetrix V-Maxを導入済みのユーザも追加で利用することができる。

新機能のうち、最も特筆すべき機能を挙げるとしたら、やはり仮想プロビジョニング機能になるだろう。オンデマンドで、使用効率の高いストレージを担保するため、いくつかの新技術が投入されているが、とくに新しい領域節約機能として注目されるのが「ゼロスペースの再利用」だ。これは物理環境から仮想環境へデータを移行する際、ゼロが格納されている連続的なデータブロックを再利用できるようにするもので、より多くの領域を迅速に使用できるようになる。この仮想プロビジョニング機能により、レプリケーションにかかる容量も時間も大きく削減することが可能になるので、ストレージ使用率の向上とTCOの削減の両方が実現できることになる。

Symmetrix V-Maxでは、同社の自動仮想化機能「FAST(Fully Automated Storage Tiering)」が採用されており、Symmetrix V-MaxとともにFASTも機能を進化させている。今後はストレージプール内でより小さなデータ単位の自動階層化を進める「Thin対応」、データ圧縮に重複除外とハードウェアのスピンダウンを実施しデータ量と消費電力を自動的に削減する「Small&Green」、さらにはEMCが提唱するILM(情報ライフサイクルマネジメント)に則り、APIとアプリケーションスタックでの統合を図り、不要な情報をアーカイブ/クラウドへ移行、もしくは削除する「Gone」などを実現させていく予定だ。

Symmetrix V-MAXで採用されているEMCのFAST技術は、アクセス頻度の高いデータを高価なフラッシュディスクに、頻度の低いデータを保存用のSATAディスクに自動で振り分ける機能をもつ。これにより、ディスクを効率的に利用することが可能になる