帝国データバンクは2月23日、全国の旅客航空21社を対象にした経営状況分析レポートを発表した。

レポートは、2008年度(2008年4月~2009年3月)から過去3年度分の財務諸表をもとに作成されている。対象とされているのは以下の21社。

今回の調査対象となった21社(クリックで拡大)

収入高を見ると、2008年度はJALとANAの大手2社がそろって減収に転じているものの、増収/減収を記録した企業はそれぞれ10社ずつという結果だった。そうした中でも、2006年1月に北九州で就航した新興のスターフライヤーが、2期連続で前年度比2ケタの増収を記録しており、目立った業績を残している。

航空各社の収入高

また、収益性に目を移すと、2008年度は21社中11社が当期純損失を計上。特に天草エアラインとジェイエアの2社は、当期純利益率で2ケタの大幅赤字を記録したうえ、JAL、北海道エアシステムなどの5社は3期連続赤字という結果になっている。一方、最も収益性が高かったのは、沖縄を拠点とする琉球エアーコミューターの6.91%。次いで、ジャルエクスプレスが4.41%、アイベックスエアラインズが3.76%と続いている。

航空各社の収益

そして、自己資本比率という点では、北海道エアシステムと北海道国際航空の2社が50%超を維持している。ただし、北海道エアシステムは連続欠損で繰越損失を抱え、北海道国際航空は民事再生法による再建(2002年6月申請→2005年3月終結)を経ており、帝国データバンクでは「単純な比較評価は難しい」と説明している。2008年度時点では、アイベックスエアラインズとジェイエアの2社が債務超過の状態だという。

航空各社の自己資本比率

帝国データバンクでは、こうした航空会社の状況について「以前は、国際線メインのJAL、国内主要都市を結ぶANA、ローカル線の旧 東亜国内航空(日本エアシステムを経てJALに統合)の3社による競争回避の航空行政が続き、航空業界には高コスト体質が温存された。加えて、空港整備特別会計による地方空港の相次ぐ開港と、不採算航路の拡大が不経済な経営を助長。これらの長年のツケが、JAL破たんで一気に噴出した」と分析。

そのうえで、「2期連続2ケタの増収率を見せたスターフライヤーなど、一部には奮闘している地域航空会社があることも事実である。2010年度には羽田・成田両空港の拡張や航空自由化が予定されており、市場好転への光明も見えている」と好材料があることにも触れ、「今後の再起に期待している」とまとめている。