女流公式棋戦「第3期 マイナビ女子オープン」挑戦者決定戦が16日、東京・将棋会館にて行われ、甲斐智美女流二段が斎田晴子女流四段を166手で降し、第1期以来2年ぶりの五番勝負出場を決めた。

マイナビ女子オープンは2007年、将棋界としては15年ぶり5つ目のタイトル戦として創設された女流戦。毎日コミュニケーションズ、社団法人日本将棋連盟、一般社団法人日本女子プロ将棋協会(LPSA)の3者で共催する。優勝者には「女王」の称号が与えられ、優勝賞金は女流棋戦では最高額の500万円が授与される。第2期マイナビ女子オープンは、挑戦者である岩根女流二段が五番勝負直前の出産などで注目を集め、矢内理絵子女王の初防衛で幕を閉じた。

矢内女王と甲斐女流二段(写真左から)

対局後の記者会見で、甲斐智美女流二段は「中終盤のねじりあいが難しい将棋でした。一局の将棋にここまで力を出したのは初めて。頭がまだぼ~っとしています」と斎田女流四段との熱戦を振り返った。第一期マイナビ女子オープンの五番勝負で女王の座を争った矢内女王との再戦については「奨励会に入った頃から追いかけてきた先輩と対局できることをうれしく思います」と喜びを語った上で「結果よりも内容のある将棋を指して、皆さまに楽しんでもらいたい」と抱負を述べた。

斎田晴子女流四段

甲斐智美女流二段

2度目の防衛をかけて戦う矢内女王は、甲斐女流二段について「(挑戦者決定戦では)難しい将棋を非常にねばりづよく戦われた印象。第一期の五番勝負より大変な勝負になると思っています」と話した。さらに「第三期のトーナメントはWEBで見ていましたが、非常に難しい局面が多くマイナビ女子オープンにかける女流棋士の強い想いを感じました。その中でも最も気持ちが大きかったのが甲斐さんだったのではないでしょうか」とした上で、「同じ時期に奨励会に入られた甲斐さんとの対局を楽しみにしています」と笑顔を見せた。

タイトル戦への意気込みで、甲斐女流二段は「タイトル戦は多くの人に見ていただき、注目される場なので、気持ちを引き締めてしっかり頑張りたい」、矢内女王は「道のりの長い五番勝負になると思いますが、しっかり準備をして全力で頑張りたいと思います」とコメントを寄せた。

また、今回は新しい試みとして「第3期 マイナビ女子オープン」の公募レポーターを募集。自身のブログやTwitterなどで紹介することを条件に、約15名の将棋ファンが挑戦者決定戦、女王と挑戦者による決意表明会見の様子を見学した。

感想戦を見学する公募レポーターら

レポーターは、挑戦者決定戦の対局、対局終了後の感想戦を見学後、決意表明会見に参加した。会見では女王と挑戦者に質問する機会もあり、五番勝負にかける意気込みなど様々な質問が飛び交った。レポーターとして参加した30歳の男性会社員は「非常に面白い試みだと思いました。1回だけにとどまらず、2回、3回と続けてほしい。私たちも(今回の試みが続くように)しっかりとレポートしたい」とにこやかに話した。公募レポーターによるレポートはこちらで見ることができる。

急遽、レポーターのために解説会も行われた。解説を行う勝又清和六段

中井広恵 LPSA代表理事や中村真梨花女流二段など、次々とゲストが登場して会場を盛り上げた

第3期マイナビ女子オープン五番勝負 日程

  • 第1局 3月28日(日) 場所 : 熊本県・「旧細川刑部邸」 熊本県指定重要文化財
  • 第2局 4月11日(日) 場所 : 岡山県・倉敷市芸文館 (午後より公開対局を予定)
  • 第3局 4月19日(月) 場所 : 東京都・将棋会館
  • 第4局 4月27日(火) 場所 : 東京都・将棋会館
  • 第5局 5月11日(火) 場所 : 東京都・将棋会館