「図解化」で夢に近づく

次に因数分解を紹介します。一つのものを枝分かれさせていく図です。

このパターンは自分がやりたいと思っていることや目標への筋道を分析することができます。例えば先ほどの営業マンが将来、「営業成績でトップになる」という夢を持ったとします。

それを実現するために必要なことをまず、二つ考えます。

なんといっても営業して、受注する数を増やすことが必要ですから、一つは「受注件数」です。それからそれぞれのお客さんからの注文金額も大切ですので、もう一つは「注文単価」にしましょう。この二つをそれぞれの枠に当てはめます。

さらに「受注件数」と「注文単価」を伸ばすためにできることを考えます。

受注件数のためには「客数」「受注頻度」、注文単価のためには「商品単価」「商品の組み合わせ」を増やすという手段がありますよね。このように目標や願望のための具体的な行動をどんどん導き出すことができます。枝分かれしていくほどに行動のハードルが低くなりますから、夢が現実味を帯びてくると思います。

問題を一段上げて考える

そもそも問題や課題といったものは、ピラミッド型をしています。

ピラミッドの底辺にある「表面上の小さな課題」ですが、これは頂点の「問題の本質」がさまざまな現象として現れている状態です。

それらの小さな課題を3本の表で拾い上げていくと物事の本質を突き詰めることができるので、自然と悩みや課題の解決へと向かいます。

――不安なときほど視野が狭くなってしまいますから、図解で強制的に視野を広げることは大事ですね

そこが図解の一番のメリットだと思います。

3本線の表に対して、「因数分解」のパターンはピラミッドの頂点を起点としています。頂点にある目標や課題をブレイクダウンしていき、具体的に行動できることを見出すための図です。

一見実現できそうもないことでも、必要な事を一つずつ分解していくと糸口が見つかるものです。夢の実現はそれを実行するかしないかの差だけかもしれませんね。

「3本線の表」と「因数分解」は正反対の特徴がありますから、自分は雑多な問題を整理したいのか、あるいは特定の問題を解決するための筋道を立てたいのかを考えるといいと思います。

――図解メモは個人的な夢や課題にも対応できますね。お話しをうかがううちに、「図を描くこと」に対する心理的なハードルが低くなってきました

私はいつも年明けに目標を立てているのですが、そのときに「3本線の表」を使います。昨年達成できなかったことをリストアップして、それがなぜできなかったのかを考えるのですが、これはまさに問題の本質を探る作業と言えますね。

ちなみにこの作業で、私は定期的に何かをすることが苦手だとわかりました(笑)

この結果から「定期的に何かをする習慣を身につける」を起点にして、「因数分解」の図を使って考えたところ、「早起きをする」という方法が導き出すことができました。

このように図解メモのパターンを連続して使うこともできます。自分がやってみたいことや興味のあることをテーマにして、気負わずに図解の技術を身につけてほしいと思います。


次回は残り5つの図解パターンについてうかがいます。(毎週木曜日更新)。

(撮影 : 中村浩二)

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)

中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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