――まずは一度短い文章で書き出し、そこから振り分けるのが大事なんですね

いきなり完璧な図にする必要はありません。私もまず手書きでスケッチしてからパワーポイントを使います。手書きのほうが相手に伝わりやすいこともありますし。最初からきれいに仕上げた資料を見せるよりも、手書きであるほうがクライアントも意見を言いやすく、一緒に作り上げていこうという意識を共有できます。

エッセンスを図解にする

――確かにコンサルティングになくてはならない技術ですね。他に図解メモを使うシーンはありますか?

研修やセミナーを受けるときに図解メモをとっています。セミナーを聞いてもそのあとに何も残らないと不満に思っている方も多いと思いますが、図解メモならば記憶に残ります。

もちろんセミナーの話のすべてを図解化する必要はありません。たった一つだけでもいいと思います。

――村井さんは図解にする部分をどうやって決めているのですか?

セミナーで一番聞きたかったことや、ピンと来たところ、おもしろいと思ったもの書いています。たとえきちんと「今日はこれを学ぼう」と決めていなくても、自分が興味のある分野にかかわることであればひっかかるものです。それが出てきたときに書けばいいのではないでしょうか。

以前参加したセミナーで、「優秀な人のまねをすることは大事だが、その人のアウトプットではなく、インプット方法をまねたほうがいい」という話が印象に残ったので、それを自分なりの図でメモしました。こうするとその話を忘れませんし、セミナーのエッセンスを凝縮・抽出したものが手元に残るので、後々も使えるメモになります。

一生懸命文章でメモをとったものでも、後で見返すとなるとおっくうですし、記憶が鮮明によみがえるわけでもないですから、その点ビジュアルがあるとずいぶん違ってくると思います。

図解で事前に準備をする

――なるほど。他にも図解を使える場面はありますか?

会議やインタビュー、プレゼンテーションの準備にも使えます。「こういう話を聞きたい」、「こういう話をしたい」という内容をあらかじめ図にしておくのです。そうすることで、自分の話したいことが整理されますし、その場で相手に図を見せながら説明することもできます。それに図示しながら話すと、理解度が深まり、相手もより協力的になってくれることが経験上多いですね。

――図解は一見難しいように思えますが、だからと言って書かずにいるのはもったいないですね

自分が集めた情報をまとめられて、かつ相手にも伝わりやすいという点が図解メモの大きな魅力です。いろいろなメモの手法がありますが、特に図解は仕事に生かせるうえに、結果も出せる手法だと思います。

この良さを実感するには、「とにかく一度書いてみる」ことですね。絵がうまくなくても、汚くてもいいんです。とりあえず頭からアイデアを出す。このアウトプットが大切です。書いた図解メモのすべてを保管する必要はありません。「これだけは」というものだけを取っておき、必要ならば清書すればいいですし、使わないものは捨てる。それぐらいの気持ちではじめてみてはいかがでしょうか。


次回は、いよいよ図解メモの書き方「ビジネスに効く7つの図解パターン」についてうかがいます(毎週木曜日更新)。

(撮影 : 中村浩二)

INTERVIEWER PROFILE : 早川洋平 / KIQTAS(キクタス)

中国新聞社記者、全国紙系編集プロダクションのライターを経て入社した企画会社で2008年、良書の著者にインタビューするポッドキャスト「人生を変える一冊」をスタート。配信後2カ月でiTunes store podcastビジネスランキングで21日間連続1位を獲得、月間20万DLの人気番組に成長する。独立起業した現在は、インタビューやライティングに加え、ポッドキャストを軸にしたコンサルティング、コンテンツプロデュースなどを行っている。
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