ガートナーは2月3日、同社が2009年11月に実施した調査によると、日本企業のIT投資意欲は依然として低く、2010年度に至っても投資意欲の回復が見込めないことが判明したことを発表した。同社は、日本におけるIT市場の本格回復は2013年度以降になる可能性が高いと予測している。

2009年度は、従業員数1,000人以上の大企業における投資の減少傾向が特に強く、それは市場規模にも大きな影響を与え、2009年度のIT市場規模は伸び率で前年度比マイナス5.2%となり、1兆円近く縮小すると、同社では見ている。

2010年度のIT市場規模は、前年度の経済成長率に加え、2010年度予算が決まる4月~5月時点で景気が少し回復し始め、プロジェクトを復活させる企業も出てくることを想定し、前年度比でマイナス1.2%になると予測されている。

注目されているITのトピックとしては、「クラウド」、「情報セキュリティ管理やディザスタ・リカバリ対策」、「サーバ仮想化」が挙げられている。

クラウドはコスト削減などへの期待値は大きいが実際の投資に至る企業は少ないと、同社では見ている。情報セキュリティ管理やディザスタ・リカバリ対策への2009年度から2010年度にかけての新規・追加ニーズは、2008年11月調査時 と比べて大きく減少しているが、中長期的なクラウド関連でのセキュリティ対策ニーズ、セキュリティ上の大きな事件や災害の発生から、今後復活する可能性もあるという

。一方、サーバ仮想化に対する新規・追加ニーズは2009年11月調査で大きく増えている。サーバ仮想化もコスト削減が主目的ではあるが、サーバ仮想化ソフトウェアや周辺サービスへのニーズが増大し、一時的に市場規模を押し上げる可能性はあると、同社では分析している。

IT市場規模を強く押し上げる要素としては、景気回復期における、業務に直接影響するITソリューション (業務コストの削減や売上の増加をもたらすアプリケーション) と、安全性・安定性も含んだそれらソリューションのインフラに対するニーズ増大が挙げられている。

IT投資Trend Indexの経年変化と前年度経済成長率 資料:ガートナー(ITデマンド・リサーチ)、1999~2008年度の経済成長率は2009年12月時点の内閣府データ (2009年度は政府見通し)、2010年度は主要エコノミスト平均値 (2009年9月)

IT投資Trend Indexとは、ユーザー企業のIT予算額の前年度比増減率を7つ(20%以上減、10~19.9%減、0.1~9.9%減、不変、0.1~9.9%増、10~19.9%増、20%以上増) に分類し、それぞれに重み (-3, -2, -1, 0, +1, +2, +3) を付け、加重平均を取った数値。