さらに続く志倉千代丸語録

イベント終了後、さらに楽屋にて語られた志倉氏からのメッセージも紹介しよう。

■今日の感想
正直あまり、ふざけられなかったです(笑)。ライブのステージならその場のノリでタレントさんとふざけたりもできるんですけど、もう質疑応答なんか真面目すぎてビックリしました。どこまで真面目に、大人の世界を語ったらいいんだろうと思いながら、がんばってこたえました。レーティングの話とか、「あぁ、そこ気になるんだ」って思いました。市場のこととか業界のこととかを考えていらっしゃるんだなと。俺が昔ゲームをやっていたころは、あんなこと考えたこともないですよ、本当に。もうそこは感心しましたね。

人前でこんなに真面目な顔して話す機会ってあんまりないんですよ。全然、毒なんか出なかったですからね。あと司会の生徒さんが面白かったです。ただ彼、途中から志倉イジリの拍車がかかったので、そこは毒をもって毒を制したけど。あとライブよりも緊張しましたね。学祭ということもあってか、窓の外でバンドの音が鳴って、ノイズになっていたじゃないですか。でも、そのバンドの音がなくなったら逆にさびしくなっちゃったりして(笑)。緊張感にあふれるトークショーでした。

■今回の依頼を承諾した理由
ライブハウスでトークショーやお茶会をやろうという話もあったのですが、大学に行くのも面白いかもって思いました。来てみたらやはり楽しかったですね。今後もオファーがあればどこへでも。

■志倉千代丸はリア充?
クリエイティブをやることって、ある程度リアルが充実していないと難しいんですよね。充実している日常から得られることを、作品に落とし込んでいくというのがあるので。特に本を書くということになってくると、ある程度、今のリアルな秋葉原とか、今のリアルな文化を知っていないと、その文化の大局を掴みきれないじゃないですか。でもまあ、イヤイヤリア充している感じですね。イヤイヤです(笑)。リアルが充実しているように見えますか? それは勘違いですよ。そう見えるだけです。昔バンドをやっていたけど今はやっていなかったり、割と3次元の中にいますけど、企画を考えるときもある意味2次元に没頭してますからね。人生のうちの8割は2次元の世界にいます。きっと。だからそんな僕をリア充と呼ばないでください(笑)。

■クリエイター? アーティスト?
アーティストではないと思っています、僕は。あくまでクリエイターであって、こうやって表に出てはいますが、僕の一番のメインの仕事はというと、やっぱり裏方なわけですよ。クリエイティブをやっているときはすごく地味で、音楽を作っているときは音が出るのでちょっと派手にも見えますが、特に本書いているときなんて本当に地味ですからね。座布団を敷いて、床にペトンと座って。すごく地味な光景ですよ。でも、その瞬間が、いわゆる僕にとっての仕事をしている瞬間だと思っているので、そういう意味でもやっぱりクリエイターだと思います。もう永遠にクリエイターでいたいと思っています。メインはクリエイティブで、ライブはパフォーマンスといいますか、まあ自演乙みたいなものですよ。

■「志倉千代丸楽曲集」のおススメポイント
あ、今もカバンの中に歴代の楽曲集のCD全部持ち歩いてます! それぐらいおススメですね(笑)。このシリーズを最初に出したときからの共通のテーマにもなっているのですが、キャッチとして「欲しい曲全部入り」っていうのがありまして、帯にも「人気アーティストがこのアルバムに集結!」と書いてありますが、そこがまさにオススメのポイントです。それからこのアルバムをまとめるにあたり、曲順などはライブを意識して考えています。なので、なんとなくライブに参加しているような感覚で聴いてもらうこともできますし、ほぼ全曲がタイアップ楽曲なので、飽きることもなく、最初から最後まで楽しんでいただけるのではないかなって思います。本当にお買い得なアルバムになっていますので、メーカーの枠を越えたこの機会に、ぜひ手に入れていただきたいなと思います。

■意識するクリエイター
いや、だから小室哲哉さんですってば(笑)。アニメやゲーム業界の中にはあんまり意識している人は居ません。そもそも友達が少ないんですよ。

■シリーズものの楽曲提供はきつい?
きついですね。たとえば「タユタマ」って作品の場合、PCに楽曲を提供させて頂いて、アニメになって、コンシューマになって、ファンディスクにもなって。そのすべてのオープニングを書いてくださいっていわれても、結局全部同じテーマじゃないですか。それは難しいな、と。だからさすがに「タユタマ」のコンシューマゲームでは「もうネタがありません!」って言ってお断りさせてもらいました。そういうことは多々あります。つまり自分との戦いなんです! ……こういうカッコいい締めで。あ、別にカッコ良くないか(笑)。本当にどのインタビューを受けてもカッコよく締まらないんですよね。あーぁ。



およそ2時間30分にわたって、志倉氏が語ったメッセージはいかがだっただろうか。志倉氏の作品に取り組む姿勢、考え方など、そのすべては真実なのか、虚構なのか、妄想なのか……。そのあたりは読者の方の判断に委ねたい。