Google.orgは10日(米国時間)、第15回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)において、衛星画像をベースに森林の変化をモニター・分析するオンライン・プラットフォームのプロトタイプのデモを公開した。

地球温暖化対策では二酸化炭素の排出量に注目が集まりがちだが、その吸収源である森林を増やす、または減らさらない努力も必要になる。そこで森林大国である途上国の森林保護に排出権を割り当てるREDD(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in Developing Countries)がCOP13から注目され始めた。森林保護で得た排出権を排出量抑制義務のある国に売却することで、森林伐採を減らした分の利益を得られる。Google.orgが公開した技術は、このREDDを機能させる上で不可欠な、森林の変化を世界規模で正確に記録する手段としても利用できる。

Google.orgによると、森林地帯を記録した衛星画像は過去から現在まで豊富に存在する。だが、こうした衛星画像データに世界規模で研究者がアクセスできる手段がなく、またその変化を計測するには莫大な計算リソースが必要になる。そこでGoogle.orgはCarnegie Institution for ScienceのGreg Asner氏とImazonのCarlos Souza氏と共に、Gogoleのクラウド・プラットフォームを用いたソリューションの開発に乗り出した。

Google.orgなどが手がける技術では、Webブラウザを通じて簡単に、テラバイト規模の衛星画像データ、計算リソース、科学アルゴリズムにアクセスできる。現在ハイエンドのデスクトップPCで数日間を要する森林破壊の分析が、クラウドベースのプラットフォームでは数秒で処理される。これにより、たとえば「ローカル政府が違法な伐採行為をより効果的に特定できるようになる」という。ほかにもデータを所有する政府や研究者がデータの共有を柔軟にコントロールできるセキュリティと透明性の高さ、スケーラビリティなどを特徴として挙げている。

COP15でのSAD(Sistema de Alerta de Deforestation)オンラインのデモ。赤いホットスポットは過去30日の間に森林破壊が起こっている場所を示す

Google.orgはプロトタイプに用いられている技術を、非営利サービスとして提供する予定だ。現在一部のパートナーとのクローズドなテストが行われている段階だが、2010年中に幅広いアクセスを実現する見通しを示している。