日本ヒューレット・パッカード エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括 ストレージワークス事業本部 事業本部長 富岡徹郎氏

日本ヒューレット・パッカードは12月9日、ハイエンドNAS製品「HP StorageWorks X9000 Network Storage System」シリーズを発表した。同製品は、今年7月に同社が買収した大規模NASファイルシステムベンダーの米アイブリックスの製品「IBRIX Fusion」を製品化したもの。

エンタープライズストレージ・サーバー・ネットワーク事業統括ストレージワークス事業本部事業本部長を務める富岡徹郎氏は、「X9000シリーズは、今月発表したインフラの新戦略"Converged Infrastructure"のストレージ・コンポーネントとなる製品。今年7月に、スケールアウト型のiSCSIストレージシステムを発表して、いい立ち上がりを見せている。スケールアウト型技術をNASシステムにおいても推し進めていきたい。2010年はスケールアウト型NASの年としたい」と述べた。

ヒューレット・パッカード ストレージワークス ユニファイドストレージ ディビィジョン ワールドワイド ビジネスディベロップメント マネジャーのピート・ブレイ氏

ストレージワークス ユニファイドストレージ ディビィジョン ワールドワイド ビジネスディベロップメント マネジャーのピート・ブレイ氏からは、同製品のConverged Infrastructureにおける位置づけと特徴について説明が行われた。

Converged Infrastructureは、「コンピュータ、ストレージ、ネットワーク、電源冷却およびIT設備の既存リソースの統一管理を可能にすることで、仮想化され、高度に自動化された弾力性のあるデータセンターを実現する戦略/アーキテクチャ。

そのアーキテクチャは「インフラストラクチャ運用環境」、「フレックスファブリック」、「仮想化されたリソースプール」、「データセンタースマートグリッド」から構成されるが、同シリーズは「仮想化されたリソースプール」に属する。

Converged Infrastructureのアーキテクチャ

同シリーズは、複数異種のアプライアンスを束ねて1つのクラスタファイルシステムを構成し、アプライアンス単位で容量と処理性能を追加・拡張できるスケールアウト型のファイルストレージだ。

ブレイ氏は同シリーズの特徴を3つ挙げた。1点目は、最大16ペタバイトの容量のシングルネームスペースを一元管理できることだ。2点目は、オンラインで処理性能と容量を拡張でき、異種アプライアンスにも追加可能な点だ。3点目は、シングルネームスペースの中で自動的にデータの階層管理を実施し、コストと性能のバランスを最適化できることだ。

そのほか、データアクセスのないクラスタ内の全ノードから並行してデータ転送が可能なリモートレプリケーションも備えている。これらはすべて標準で提供される。

同シリーズは、スケールアウト型のファイルサーバアプライアンス「HP StorageWorks X9320　Network Storage System」、大規模ストレージモデル「HP StorageWorks X9720 Network Storage System」、SAN環境対応のゲートウェイ型ファイルサーバ「HP StorageWorks X9300 Network Storage Gateway」の3製品から構成される。

価格は、X9320のCapacity Modelが1887万9,000円から、同Performance Modelが2181万9,000円から、X9720が1694万7,000円から、X9320が617万4,000円からとなっている(いずれも税込)。

HP StorageWorks X9000 Network Storage Systemのラインアップ

同社では現在、データ・マイグレーションサービスを開発中であり、来年前半までにワールドワイドでの展開を予定しているという。基本は同シリーズにツールをインストールした形で提供され、環境に応じてサービスによる対応も行われる。