Crayは11月17日、同社のスーパーコンピュータ「Cray XT」シリーズの最新機種として、ハイエンド品「Cray XT6」およびXT6と完全互換のミッドレンジ品「Cray XT6m」の2機種を発表した。

「Cray XT6」

「Cray XT6m」

XT6は、同社のスケーラビリティとアーキテクチャに、AMDのハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の最新処理技術を組み合わせた最高性能の製品シリーズとなり、理論最大演算性能は1キャビネットあたり20TFLOPS を実現する。これは、従来製品のXT5シリーズの12TFLOPSと比較した場合、約1.7倍の理論性能値となる。 同製品の出荷は2010年第2四半期が予定されている。

一方のXT6mは、ミッドレンジ製品ながらXT6と同様の設計思想を実現している。同社のハイエンド・スーパーコンピュータのアーキテクチャをスケールダウンしつつ、アップグレード性も維持した、HPC市場の中規模クラスのニーズに応える、コスト効率重視の製品となっている。そのため、XT6mは、XT6と同様のアーキテクチャとソフトウェアを搭載し、コア数700~13,000(キャビネット数が1~6基)のシステム規模に最適化されたネットワークを備えている。

さらに、XT6とXT6mで用いられているCPUブレードは、小設置面積で高いスケーラビリティを達成するように設計された4台の計算ノードを装備しており、1ブレードあたり最大96個、または1キャビネットあたり2,300個以上のプロセッサコアで構成することが可能。

各計算ノードは、2個の「AMD Opteron 6100」シリーズプロセッサ(8コアと12コアの「Maranello」プラットフォーム)で構成され、各プロセッサには独自のメモリと専用のCray Seastar2+インターコネクトが組み込まれている。各計算ノードは、32GBまたは64GBのDDR3メモリで構成することができる。

基本構成例と参考価格はXT6では、20ノード、AMD Opteron 6100シリーズプロセッサ×40(8コア)、 32GBメモリ×20、Cray Seastar2+ 3Dトーラスインターコネクト、16TBストレージ(Lustre File System)で、5,000万円からとなっているほか、XT6mでは20ノード、AMD Opteron 6100シリーズプロセッサ×40(8コア)、32GBメモリ×20、Cray Seastar2+ 2Dトーラスインターコネクト、16TBストレージ(Lustre File System)で3,500万円からとなっている。

なお、Cray XT6の最初の導入事例は、スコットランドのエディンバラ大学に設置されているHigh-End Computing Terascale Resource(HECToR)プロジェクトが予定されている。