「女なんて面倒くさいし、鬱陶しいよね」的な押し寄せるモテ体験

ゲームは告白されるまでの「友達パート」と、告白されてそれを受け入れて、晴れて恋人同士になった「恋人パート」の2パートに分かれている。

プレイ開始直後は当然、「友達パート」をプレイすることになり、ここでは、彼女たちとの日々の学校生活を楽しむことになる。そしてゲーム内時間における100日間の学校生活の中で、三人のヒロイン達からの告白を受けることを目指す。

基本的にプレイヤー扮する主人公は、現実のアナタと違って平均より見てくれも良いようで、得体の知れない魅惑の男性フェロモンも出ていて、基本的に女性に好かれてしまうような、天性のモテ体質となっている。したがって、あからさまに「興味がない」という態度をとらない限りは、大前提としてヒロイン達はプレイヤーに好意を抱いてくれる。

「友達パート」は、4分割された一日の活動時間をどう過ごすかを「予定表」に入力し、実行することで進行していく。「どう過ごすか」の部分は、曜日や日にちによって選択できるバリエーションが若干変化するが、午前ならば授業の種類、午後ならば「テニス部」「図書委員」「ファミレスのバイト」、そのほかの「外出」などが選べる。

日々を暮らしながら、ヒロイン達との接近遭遇を楽しむ。これが「友達パート」

そうした日々の各種行動は、プレイヤーの「彼氏力」なる男性としての魅力パラメータ群を上げ下げしていくことになる。このあたりはいわゆる育成ゲーム的なシステムになっているわけだ。「彼氏力」パラメータには「運動」「知識」「感性」「魅力」の4つがあり、各時間帯の行動はそれぞれのパラメータに対し、プラマイ(±)効果を与える。例えば、理系科目の授業は「知識」を大幅に上げるが「運動」を下げてしまうし、部活動への参加は「運動」を大幅に上げ、「知識」を少し上げるが、「感性」を下げてしまう。

「彼氏力」の4つのパラメータは、各ヒロインが自分に好意を寄せていく加速度的なパラメータにもなっており、とる行動の多い少ないでプレイヤーの「彼氏力」パラメータの成長具合が変化していくこととなる。どの「彼氏力」パラメータの上げ下げがどのヒロインに響くかということは、攻略要素と言うことで公開されていない。しかし、わかりやすいのはスポーツ万能で優等生の高嶺愛花。彼女は「彼氏力」の「運動」と「知識」が高いことを好むようなレスポンスを示す。

「友達パート」では「彼氏力」はゼロスタート。「彼氏力」の高さに応じたイベントが起こる!

ゲームシステム側が司るゲーム内時間進行具合、そしてヒロイン達のプレイヤーに対する気持ち、そして、上記の「彼氏力」パラメータのバランスなどの要素が絡み合って、各行動が実行されるたびにイベントが発生する。

プレイヤーは男としてそこそこの魅力があるだけではなく、なんと予知能力も身に付けているのか(!)、その日のどの行動選択肢に、どのヒロイン達との"接近遭遇"があるかが分かるようになっている。そんな能力、ホント、欲しい……。予定表画面にヒロインの顔アイコンが出現している行動選択肢は、間違いなくそのヒロインとの絡みイベントが約束されており、その顔アイコン付き行動を選べば、間違いなくお目当てのヒロインとのイベントが体験できる。ちなみに、同じ時間帯の行動選択肢に別のヒロインの顔アイコン付きがある場合、どちらかのヒロインを取って、どちらかのヒロインを捨てることになる。ある意味、モテる男にしか味わえない「身体が1つじゃ足りねぇよ、まったく。困っちまうぜ、ふう」的な贅沢な悩みをバーチャルに味わえるわけだ。まあ、このあたりは、ゲームとしての「やり込み要素」という見方もできるわけだが。

ある程度、ヒロイン達と仲良くなると携帯電話のメールアドレスの交換が行われ、朝と夜にヒロイン達からメールが届いたり、こちらからも送れるようになる。『ラブプラス』はニンテンドーDSを縦画面にしてプレイするスタイルを採用するが、丁度、右側のタッチ画面側が携帯電話の画面ぽい雰囲気のGUIになっているので、出来合いのメールテキストが送られてきているだけなのだが、なかなか雰囲気は出ている。

スパム以外のナオン名義のメールをもらったことがないMNO達にとって「まだ起きてるの? 私はもう寝てたよ、愛花」のようなメッセージはなかなか嬉しい疑似体験となるはずだ。

時々、ヒロイン達がイベント中にプレイヤーに質問を仕掛けてくることがある。答えは3択くらいで、結構、答えるのに悩ましいものも多い。これはヒロイン達の感情パラメータに大きく影響するようなのだが、『ラブプラス』ではヒロイン達にあまり遠慮する必要はないので、思いのところをビシっとぶつけてやったほうが面白い。現実のナオンにはなかなか言えない人も『ラブプラス』ではビシっと言ってやろう。

基本、ヒロイン達はこちらに一方的に好感触を抱いているという設定なのだ。ビシって言ってやろう

例えば、明らかに自分に好意を抱いているのが見え見えなのに、天性のモテ野郎であるプレイヤーは、ゲーム中の台詞では「?」とかいってしらばっくれていると、それを見かねた高嶺愛花が「○○○君の好きな女性なタイプってどんななの?」と聞いてきたりする。この際、「(1)優しくて大人しい子かな」「(2)明るくて積極的な子かな」「(3)今の高嶺みたいな子かな」といった選択肢が出て来るわけだが、これまでの御機嫌取り恋愛シミュレーションゲームならば「(3)」が正解だろう。しかし、『ラブプラス』では「(1)」や「(2)」を選んでも間違いではないのである。

この後、例えば「(2)」を選ぶと、それまで箱入り娘だったおとなしめな高嶺愛花が、やや無理をしている感じで明るく振る舞ったり、登下校時に待ち伏せをして同行を迫ったりの積極行動に出たりすることもある。「オ、オレに気にいられるために、ナオンが無理してる!」という体験は、おそらくMNOが一生味わうことができない体験のはず。これをゲームで疑似体験させようとは……。

KONAMI、恐るべし……。

なかにはすべての「彼氏力」パラメータを均等に上げて、三人のヒロイン達と均等に仲良くなる学園生活を送るプレイヤーもいることだろう。すると、まぁ、三人がほぼ均等にプレイヤーに好意を寄せてくれるようになるが、すると特定のヒロインとのイベント中に、別のヒロインがやってきてヤキモチを妬いて「ふうん、○○○くんが、ここでバイトしている理由が分かった気がする」などといった憎まれ口を叩くことがある。

「オレのためなんかに争いはヤメテー!」という体験も、複数のナオンによる争奪戦に掛けられたことのないMNOにとっては桃源郷のように遠い世界のはず。このヤキモチイベントは相当な種類が用意されているようで、こういうMNOの幻想再現に力点を置くあたり、KONAMIの開発者達こそが、一流のMNOなのではないか、と思った。

無論、これは誉め言葉である。