WebGLは、3Dグラフィックスを活用したWebアプリの実現を目指し制定された、OpenGL準拠のAPIセット。OpenGL関連であることからうかがえるように、各種グラフィックス技術の標準化を進める団体Khronosグループが仕様の策定を進めている。今回、Safariなど多数のWebブラウザに採用されているHTMLレンダリングエンジン「WebKit」が、WebGL実装を含む開発者向けテスト版の配布を開始したことを受け、どのように表示されるかなどエンドユーザからの目線でテストを実施した。

OpenGLベースの3Dグラフィックスがブラウザ上で、しかもプラグインなしに動作する「WebGL」

What's WebGL?

WebGLの特徴を語るとき、キーワードとなるのが「HTML5」。次世代のHTML規格としてW3Cが策定を進めるHTML5は、標準の機能としてマルチメディア再生に対応、audio / videoエレメントを利用できる。HTML5はドラフトの段階だが、Mac OS X 10.6 Snow Leopardに収録されている「Safari 4」などいくつかのWebブラウザでは、そのaudio / videoエレメントなど一部機能はすでに提供されている。

WebGLは、HTML5で導入予定のCanvasエレメントを使い3D描画を行う。同じくKhronos Groupが策定した組み込み向けの3DグラフィックスAPI「OpenGL ES 2.0」をJavaScriptでバインディング、GPUによるハードウェアアクセラレーションの効果もあり、高速な3Dグラフィックスの描画を可能にする。

WebGL最大の特徴は、その3D描画をプラグインなしに実現できることだろう。これまでもWebブラウザ上に3Dグラフィックスを表示する試みは存在し、現在もGoogleが「O3D」の開発を進めるなど動きはあるが、Web標準ではない。プラグインの力を借りず、次世代のWeb標準たるHTML5でサポートされることが、WebGLが注目を集める大きな理由だ。

Khronos Groupの発表によれば、WebGLの正式リリースは2010年前半が予定されている。それに先立ち、いくつかのWebブラウザはWebGLの実装に着手しており、FirefoxなどのオープンソースのWebブラウザ開発プロジェクトではテスト版を公開している。

今回取りあげるWebKitについても、最新のソースコードを用い日々更新する開発者向けバイナリパッケージ (WebKit Nightly Build) として、10月4日から一般公開を開始した。コンパイルの必要がないうえ、Safari 4と共存できる (ブックマークなどのリソースや環境設定情報は共用) ため、気軽に試すことができるはずだ。

一見すると、よく見かけるUtah Teapotだが……

最新版のWebKit Nightly Buildでは、WebGL実装が含まれている