ユビキタスとルネサス テクノロジは、車載ネットワーク向け高速TCP/IP通信として、600Mbpsを超す高速通信の実証に成功したことを明らかにした。

TCP/IP通信を利用した次世代車載ネットワークのイメージ図

これは、ユビキタスの提供する組込機器向けTCP/IP「UbiquitousTCP/IP」を、ルネサスの車載情報端末向けデュアルコアSoC「SH7776(SH-Navi3)」のうち、1つのコアに実装することで実現したもの。これにより、車載情報端末でのTCP/IPによる高速通信の実用化にめどがついたこととなる。

このため、サーバやインターネット、ネットワークシステム処理などで活用されてきたブロードバンド環境の構築がカーナビゲーションシステム向けとして可能となり、UWBやWAVEなどの高速無線通信への対応も可能になるという。

SH7776は、2009年1月よりルネサスがサンプル出荷を開始した車載情報端末向けデュアルコアSoCで、多彩でリアルな3Dグラフィックス表示、操作性向上が図れるGUI表示、画像認識処理機能による白線検知や先行車追跡などが可能。32ビットCPUコア「SH-4A」を2個搭載し、533MHz動作時では最大1920MIPSの処理が可能なほか、AMPに対応するため、各コアごとに違う処理を実行させることが可能となっている。

また、2つのOSが連携する「ドメイン連携」のほか、1つのCPUが使用するメモリ領域に、もう一方のCPUがアクセスしてデータを変更することがないよう干渉を抑制する「ドメイン分離」を搭載しているため、通常ソフトウェアで行う処理に加え、ハードウェアでの処理が可能となり、信頼性の向上を実現することが可能だ。

今回の実証では、ユビキタスが提唱するNOE(ネットワーク・オフロード・エンジン)アーキテクチャをSH7776に応用することで、アプリケーションと通信処理の互いのパフォーマンスへの影響を排除し、PCI-Expressインタフェースを介してLinux OS搭載PCとの間でFTPによるデータ転送として、送信670Mbps、 受信615Mbpsを達成したという。

今回の高速通信のブロック図

なお、今後2社では、ルネサスが持つUWBのような車載向け無線通信技術と組み合わせたシステム化により車内ハーネスの置き換えソリューションとしても検討し、共同で車載ネットワークソリューションを車載機器メーカーへ提案していきたいとしている。