結論

ということで、簡単にRadeon HD 5850とRadeon HD 5750/5770の評価を行ってみた。まずRadeon HD 5850に関しては、これは非常に良いバランスの製品といえる。消費電力も低く、カードサイズも無理が無く、価格も安めであり、その割にRadeon HD 5870との性能差もそれほどない。もっとも性能差に関しては、今回まだDirectX 11対応ゲームやベンチマークを使ってないことも、差が無い一因であるとは思う。今後、より負荷のかかるDirectX 11対応ゲームが出てきたら、もう少し性能差が明確にでてくるかもしれない。したがってあくまでも「現状では」という但し書き付きではあるが、非常に良い選択肢だと思われる。

また、Radeon HD 5800シリーズほどの性能は必要ない、という人にはRadeon HD 5700シリーズも非常に良いバランスの製品に仕上がっていると思う。値段もぐっと下がるし、消費電力も低めで、そのくせアプリケーションによってはRadeon HD 4800シリーズ並の性能を誇る。今回は試せなかったが、Radeon HD 4850にはかなり近い(か、抜き去る)程度の性能をたたき出していると思われる。

問題は2点ある。まず1点目はRadeon HD 5700シリーズ。現状リファレンスが全部2スロット厚になっており、各社の製品もこれを踏襲するものが多いと思うが、これだと1スロットしか装着できないケース(例えばMini-ITXのCubeの場合、PCIeスロットはマザーボードの一番端についている)とか、その他の理由で2スロット目がふさがっている場合などに使えないことになる。Eyefinityを諦めてもいい(あるいは、DVI-Dは無くても良い)から1スロット厚の製品を、というニーズはかなり多いと思われ、これに対してOEMベンダーがいつ対応製品を出してくれるか、が最初に興味ある部分だ。なんとなく登場が結構遅れそうな気がする。

もう1点は、筆者がベンチマーク用に買い揃えた2枚のRadeon HD 4870である。さすがにこれだけ性能差があると、使い続けるにはちょっと難があるし、だからいってこれだけ消費電力が多いとベンチマーク用以外に転用するのもちょっと……という感じ。どうしましょう? これ。