ロームは、次世代照明デバイス向けに「フレキシブルEL照明」を開発したことを発表した。同デバイスは、従来の有機ELの1/8の軽さ(0.05g/cm2)と1/6の薄さ(0.3mm)を実現しており、曲げることも可能な光源。同社では一般照明のほか、航空機や列車内の照明、ディスプレイなどの分野における、デザイン重視のハイエンド製品への搭載を想定しているとする。

今回試作されたフレキシブル有機EL発光デバイスの応用例

有機ELはLEDなどの点光源と異なり、面発光光源であることが特長であり、太陽光に近い自然な色合いが出せ、かつ紫外線を含まないため被照明物の退色がない、虫が寄り付かないなどのこれまでの照明ではできなかったことが可能になる。また、将来的には蛍光灯を凌ぐ効率を実現されると考えられており、省エネルギー化も可能となる。

さらに、有機ELを巻き取り可能なフレキシブル基板を採用したことにより、ロール・ツー・ロールプロセスでの製造が可能。そのため、曲げることができるが、プラスチック基板を用いた場合、不十分なガスバリア性のため、寿命が短くなるという欠点があった。同社では、この課題に対し、厚さ0.05mmの薄型ガラスとガスバリア層を形成することにより、プラスチック基板をベースとしながら、十分なガスバリア性を確保したとしている。

開発されたフレキシブル有機ELの構造図

なお、同社では、今後もさらなる封止技術の向上やデバイスの大面積化、ロール・ツー・ロールでの量産技術の開発など有機EL照明の実用化に向けた取り組みを進めていくとしている。