「EX-Z450」は、常に売れ筋の上位にランキングされていた「EX-Z400」の後継モデル。幅広いユーザー層に満足して使ってもらうため、絶対に他社に負けない画質と使い勝手の良さを目指して開発されたという。そこで商品企画を担当されたカシオ計算機 QV事業部 商品企画部の今村圭一氏に画質にこだわって開発された経緯、そのコンセプトや盛り込まれた機能について語っていただいた。

――新たに手がけられたEX-Z450の位置づけを教えてください。

カシオ計算機 QV事業部 商品企画部 第二企画室 今村圭一氏。手前は「EXILIM ZOOM EX-Z450」 ※左側の薄ピンクモデルは海外仕様

今村圭一(以下、今村)「EX-Z450は、薄型デザインを特徴とするEX-Z400の後継機として開発しました。前モデルのEX-Z400はおかげさまで好調な売れ行きで、高い評価をいただきました。カシオでもっとも幅広いお客様にお買い求めいただいているEXILIM ZOOMシリーズの最新モデルとして、EX-Z450の開発コンセプトは"国内No.1モデル"としました。"国内No.1モデル"とは売上No.1という意味もありますが、各社のカメラで撮った写真を並べたとき、とりわけ画質でNo.1になろうという意味です。実はEX-Z400の開発テーマのひとつが画質だったのですが、EX-Z450も画質向上がメインテーマなのです」

――なぜ画質向上にこだわって取り組まれているのですか。

今村「カシオのデジタルカメラは、カシオらしいユニークな機能を前面にアピールしていることで評価をいただいている反面、画質はカメラ専業メーカーより劣るのではないか、という根拠のないイメージを持たれてしまう場合もあります。いわゆるカメラ専業メーカーのブランド力によるものですが、こうしたイメージを覆していくには実力で応えていくしかないのです。

もちろん話題性のある機能の開発にも力を注いでいますが、私たちが作っているのは"カメラ"です。カメラにとって重要なのはまず画質。画質こそ命であり、絶対に妥協してはならないと思っています。言い方を変えれば、画質の良さを追い求めるのは当たり前のこと。"高画質"というベースの上に独創的な機能を加えていきたい、というのが開発メンバーの想いです」

カラーはゴールド、シルバー、レッド、ブラウン、ピンクの5色が用意されている。販売台数の多いモデルだけにカラーの展開も豊富だ

――具体的にどんな部分を他社と比較しながら画質向上を目指したのでしょうか。

今村「たとえば夜景を撮影したときに、自然なホワイトバランスで被写体、背景も明るく、より鮮明に写るのはどのモデルなのか。あるいは高照度で屋外で撮ったときはどうなのか、などいろいろな評価軸、さまざまな視点でライバル各社のモデルを性能検証しながら開発を行いました。

そうして出来上がったEX-Z450は、暗部のノイズと解像感のバランスをとるため、カメラが自動で画像を解析することで、どんな環境で撮影しても所定の性能が出せるようになりました。我々は、自信を持っておすすめできる画質に仕上がったと自負しています」

――搭載されている画像処理エンジンはEX-Z400と同じ「EXILIMエンジン4.0」ですが、どの部分が変わったのですか。

今村「EXILIMエンジン4.0では、マルチCPUを採用しており、固定的な画質調整しかできないブロックと自由にプログラミングを変更可能なブロックの2ブロックで構成された1チップのプロセッサとなっています。この再構成可能なブロックに新しいアルゴリズムを搭載することで画質向上が図れます。

通常ソフトウェアを使うと中身を簡単に変更できますが、その部分の処理は遅くなります。反対にハードウェア部分は処理スピードは速いですが、開発に時間がかかります。たとえば、次の画像処理エンジンが開発されるのが2年後ですとそれまで画質はよくならないわけです。

しかしマルチCPUの仕掛けを使えば、先進的なアルゴリズムを搭載することで半年後でも画質を向上させることができます。しかも再構成可能なブロックはハードウェアと同等のスピードで画像処理が可能です。短いスパンで画質を向上できるので、常に最新の技術で開発ができるのがEXILIMエンジン4.0の特徴です。EX-Z450もこの仕組みを使って画質を向上させています。国内で一番多くのお客様にご利用いただきたいカメラですから、画質の面で後れをとってはいけません」

――ということは1月に出たEX-Z400と7月に発売したEX-H10、そして今回のEX-Z450は同じエンジンを搭載していますが画質が違うのですね。

今村「それぞれのモデルに使用するレンズやCCDに合わせて画質調整を変えて作り込みを行っているので、それぞれ画質は異なります」……つづきを読む