NECは9月24日、光集積回路技術であるシリコンフォトニクスを適用した波長可変光源を開発したことを発表した。

シリコンフォトニクス技術を用いて製造された波長可変光源

波長を変えるための2重リング型共振器において、従来の石英を用いた光導波路に比べて約1/100の急峻な曲げが可能なシリコン細線型光導波路を開発。この光導波路を採用することで、リング共振器を従来石英リング比で約1/1000に小型化し、それを搭載することで、従来比約1/30と小型化された波長可変共振器を開発した。

また、シリコンは、石英に比べ大きな熱光学効果を有しているため、小さな温度変化でも大きな屈折率変化を得ることが可能という性質があるため、この性質を利用しすることで出力光の波長を変化させるマイクロヒータの加熱電力を約1/10に低減することにも成功している。

さらに、シリコンフォトニクス技術を用いて、化合物半導体光増幅素子とシリコン光回路を結合するスポットサイズ変換導波路を開発。同導波路は、先を細く加工したシリコン細線光回路に窒酸化シリコン導波路を被せた複合コア形状で、これを化合物半導体光増幅素子とシリコン光回路の間に挿入し結合することで、通常は光損失が大きい両者の結合を、低反射・低損失で実現している。

同光源は、波長分割多重通信(WDM)の光通信波長帯のすべてをカバーしており、これを用いることで、ダイナミックな波長切り替えを小型・省電力で可能とし、XFPなどの光通信用小型トランシーバの波長可変化、トランスポンダの高機能化などが可能になるという。加えて、同社では光ネットワークシステム全体の設計自由度が向上するため、通信サービスの高度化と高信頼化、および低コスト化が可能になるとしている。