富士キメラ総研は8月10日、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)市場の調査結果を発表した。同発表によると、調査対象31サービスを集計した2008年度のSaaS/PaaS 市場は708億円となり、2013年度には1,551億円(2008年度比219%)と予測されるという。

現在、同市場の拡大は中規模企業による手組みシステムやパッケージシステム活用からの乗り換え、大規模企業における部門導入が牽引している。今後は大規模企業においても部門導入から全社導入へと利用が広がり、また、中小企業やSOHOでは、安価に短期間に業務アプリケーションが利用可能なことから、徐々に利用が拡大していくと見込まれている。

ユーザー規模別では、2008年度は大規模企業(1,000名以上)市場が35%、中規模企業(100~999名)市場が40%と、中規模以上が4分の3を占める。大規模企業はフロントオフィス系や情報系アプリケーションを中心に利用が進んでいる。全体の25%を占める小規模企業は、従来コスト面がネックとなり業務パッケージ/システム導入を見送っていたが、低コストで業務アプリケーション利用が可能になることからSaaS導入が増え始めている。

サービスカテゴリー別にSaaS市場を見た場合、情報系(31%)がトップで、次いでフロントオフィス系(22%)となっている。情報系は従来からASPとしてユーザーを獲得していたグループウェアやWeb会議などが引き続き需要を獲得している。SaaSとして利用拡大が難しいと見られてきたバックオフィス系も中小企業、ま た大手企業の部門導入などを中心に需要が見込まれる。

PaaS市場は2007年度に立ち上がり、2008年度から国内大手コンピュータベンダーやSIer、データセンタ事業者、通信キャリアなどが本格的にPaaS事業に取り組み始め、ラインアップの強化・充実を図っている。現状ではSaaS 事業者のPaaS利用は限定的であり、大手企業を中心とした一般企業向けの開発基盤提供としての需要を中心に成長していくと見られる。