ハッブル宇宙望遠鏡の最後の修理が行われたのが5月の半ば、それから2カ月後、新しく取り付けられた広域カメラ「WFC3(Wide Field Camera 3)」がようやく最初の、それも衝撃的なショットを捉えた。ごく最近、おそらく巨大な小惑星に衝突された木星の表面である。

ハッブルのWFC3が7月23日に撮影した木星の南半球部分。下部に赤黒く見える部分は、6月19日に衝突したと見られる小惑星の痕。サイズは「フットボール球場数個分」(NASA)という巨大なもの

巨大な木星にはっきりと残った衝突痕。これと同じサイズの小惑星が地球にぶつかったりしたら……

木星に衝突した小天体としては、1994年7月のシューメーカー・レヴィ第9彗星が有名だが、今回の衝突もそれに優るとも劣らない規模だった。オーストラリアのアマチュア天文家が衝突の瞬間を観測したようで、それによると、小惑星あるいは小彗星が木星の地表に衝突、そのまま砕け散ったという。生々しい衝突痕が、衝撃のすさまじさを物語る。

NASAのハッブルチームも、さっそく新しい広域カメラが成功を収めたことに気を良くしている。「こんなレアな現象を観測できるなんて我々はラッキーだ」「5月のアトランティスの成功は大きい」と、プレスリリースは喜びのコメントで溢れかえっている。

最初の仕事を無事にスタートした新しいハッブル宇宙望遠鏡、次なるおくりものが今から待ち遠しい。