米Atmelは、宇宙向けに対放射線強化を施したSPARCプロセッサとして、「AT697」の「Revision F(AT697F)」を発表した。AT697Fは全温度レンジで100MHz動作し、90MIPSの処理性能を0.7Wの消費電力で実現する。

AT697Fは以下の環境での動作が保障されている。

  • 合計300Kラドの被爆テスト
  • 一過性のエラーに対する抗堪性(最悪ケースでも5~10エラー/デバイス/日以下)
  • 95MeV・平方cm/mg、125℃の環境でエラーが発生しない

AT697FはESA(European Space Agency)のLEON2-FT(Fault Tolerant)モデルをベースとしたデザインで、対放射線強化と三重のモジュール冗長性、EDAC(Error Detection and Correction)とパリティによる保護が施されている。ESAがこの製品設計をサポートしている。

また、Dhrystone 2.1で90MIPS、Whetstoneで23MFLOPSの性能を実現しており、性能/消費電力比は150MIPS/Wと、この種のプロセッサとしてはかなり良い数値となっている。また従来Atmelが提供してきたSPARCプロセッサとのソフトウェア互換性も維持されている。加えて、90MHzで動作するSDRAMインタフェースの効率も改善された。

AT697FはMCGA394とMQFP256の2つのパッケージで提供されるが、どちらのピン配置も既存モデルである「AT697E」と互換である。すでに全モデルのサンプル出荷が開始されており、量産は2009年12月を予定している。