出勤前に早起きして、朝の時間を有効活用する"朝活"が話題となっている。そんなブームの影響を受けてか、毎朝、7時半より市民講座を展開する「丸の内朝大学」が今年4月、スタートした。7月13日より始まった第二期では新たに「旅学部」を設置。一体、旅学部ではどんなことを学ぶのだろうか。

丸の内朝大学は、大手町・丸の内・有楽町地区にて、2006年より行っていた朝時間の有効活用を提案するイベント「朝EXPO in Marunouchi」が前身。5日間限定だった「朝EXPO in Marunouchi」では、「毎日続けたい、通いたい」という声が多くあり、その声に応えるべく、連続して学べる市民講座「丸の内朝大学」へと発展したという。講座は3カ月を1クールとして、1年を通じて4月、7月、10月の3期に開講を予定している。

7月よりスタートした第二期では、5学部10クラスを開講。第一期で好評だった「食学部」と「環境学部」、女性の申込みが多い「心体学部」、英会話クラスなどビジネス要素を含む「コミュニケーション学部」、そして第ニ期に新設された「旅学部」で構成されている。それぞれの学部は1~3コースが用意されており、旅学部では、温泉の知識を得て、自分の目的に合った温泉旅行のプラン作りを目指す「温泉トラベルプランナー ジュニアマイスター編~癒されて元気になる旅を研究~」とスピリチュアルブームの中、巡礼スポットや観光地の歴史的・神話的背景を探る「自分の中に、自分を超えた旅がある『Soul Travel』クラス」の2つが開かれている。どちらも人気があり、「すぐ定員数になってしまいました」(丸の内朝大学主催者)というが、今回は「温泉トラベルプランナー ジュニアマイスター編」にお邪魔させていただいた。

受講動機は様々、"温泉を学ぶ"とは

年に200日以上温泉地で過ごすという旅達人でもある石井宏子氏

7時半、まだフル稼働はしてない頭を抱えつつ、サピアタワー東京ステーションコンファレンスへ。編集部で1、2を争うぐらい朝が得意な私も多少の眠気さを抱えていたのだが、受講生の方々は、すでに着席し、ノートを用意したり読書をしたりと準備万端。受講者は約25名で、男女比は1:3という割合だ。今回の講師であり、各地で温泉について講義をしている"温泉ビューティ研究家"の石井宏子氏によると、「場所柄と"朝活"ということでやはりビジネスマンの方が多いですね」という。受講者は「朝からよい時間を過ごしたい」「出張先でいい温泉地に訪れたい」「温泉が好き」という趣味や教養として温泉を学びたい人から、「仕事柄、温泉で地域復興に興味がある」「取引相手の外国人にいい温泉を紹介したい」など、趣味と実益を兼ねて参加する人まで様々。わざわざ出勤前に"朝活"をするだけあって、受講者のモチベーションは言うまでもなく高い。

授業は全8回、1回60分で構成されている。初回の講義は「基礎講座:温泉とは?」。温泉の定義や基本的な作用、種類から温泉分析書の見方、正しい温泉入浴法まで、"温泉の基本"を学ぶ。その後の講義で、講座タイトルにもあるような、"温泉プランナー"として大事なことを多角的な視点で身につけていく。「温泉トラベルプランナーとは、旅行会社の仕事やツアーコンダクターを目指すものではありません。ホテル選びと同じように、自分の視点で"温泉選び"をしてもらえるようになれば幸いです」(石井氏)。講義は60分と思えないぐらい内容が充実しており、何気なく温泉地で目にしていた温泉分析書や泉質の特徴についての解説には、皆が真剣に耳を傾けていた。

第1回の「基礎講座:温泉とは?」では、温泉の基本を学ぶ。石井氏「温泉の知識ももちろん大切ですが、ここでは地球から生まれた命のエネルギー「温泉」の素晴らしさを氏って欲しいですね」

カリキュラムの中には、実際に1泊2日で温泉地へ行く"フィールドワーク"も用意されている(授業料込)。「この講座が、単に"講義"だけで終わらず、コミュニティとして活用できるのもよい点だと考えています」(丸の内朝大学主催者)。知識を学ぶだけに留まらず、同じ趣味や嗜好をもった人同士のつながりが持てるのが"丸の内朝大学"の特徴だ。

丸の内朝大学の第三期申込みは、9月上旬より受付を開始するというが、新たな講座を設ける予定もあるという。旅学部だけでなく、朝の時間を有効に活用したい人や自分の趣味を探求したい人は要チェックだ。