我々の努力について生の声が得られるため、ベータテストはいつだっておもしろいものだ。Windows 7ベータ版は113カ国でダウンロードされたが、このような大規模、かつ広範囲なベータプログラムにおいては、さまざまなフィードバックを検討し、それらを組み込むプロセスを通過しなければならない。

以前はWindowsのベータ版に採用されるローカライズ言語はその都度実践的な理由で選ばれていた。このやり方はたしかにメリットがあったが、その一方でローカライズ言語として採用された言語では問題が起きなかったため、グローバライズに関する重大なバグが報告されないという事態があまりにも頻繁に発生していた。Windows 7では、グローバライズに関するバグを見つけることを至上命題として、典型的なバグが発見された4つの言語(と英語)をテストに使われる言語として絞り込んだ。それが以下の4つだ。

言語 説明
ドイツ語 ドイツ語は非常に長い単語を含むため、ダイアログボックスのサイズや位置調整といった問題が他の言語よりも見つけやすい
日本語 日本語には数万種類以上の非ラテン系の文字が含まれるほか、複数の入力システムや複雑なかな漢字遣いが存在するため、多くの東アジア地域の言語に影響する問題を見つけやすい
アラビア語 アラビア語は右から左に記述し、かつ文脈によって文字の形が変わるため、ドイツ語や日本語では発生しない問題を見つけるのに役立つ
ヒンディー語 Windows 95/98ではヒンディー語のサポートは行われておらず、完全にUnicodeでのサポートが行われている。ヒンディー語でテストを行うことで、非Unicodeのレガシー言語全体に影響する問題を見つけられる

Windows 7ベータ版で発見されたグローバライズに関するバグ。上の日本語版では赤枠で囲った部分の表示が崩れている。下のアラビア語版では赤枠で囲った部分の要素の配置がおかしい

ベータ版では、これらの4つの言語に集中して取り組むことで、さまざまな言語に影響するグローバライズのバグを最大限取り除けた。その結果、製品版リリースの前にすべての言語のローカライズのクオリティを向上させるだけの時間が得られた。次は、Windows 7のベータ版で発見されたバグの画面写真だ。

これらのテスト用言語を通じてグローバライズに関するバグを見つけ出す作業に加え、我々は製造過程における言語的な面でのフィードバックを一部のOEMベンダーからヒアリングしている。多くのOEMベンダーは東アジア地域にあるため、中国語版(簡体字、繁体字)と韓国語版のWindows 7ベータ版も作成された。

Windows 7製品候補(RC)版の言語パック

開発プロセス改善の恩恵のひとつとして、Windows 7製品候補版ではWindows史上最多となる32言語を網羅した言語パックのリリースが可能となった。Windows 7 Ultimate製品候補版のWindows Updateでは、アラビア語、ブルガリア語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、チェコ語、デンマーク語、オランダ語、英語、エストニア語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、ギリシャ語、ヘブライ語、イタリア語、日本語、韓国語、ラトビア語、リトアニア語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語(ブラジル)、ポルトガル語(ポルトガル)、ルーマニア語、ロシア語、セルビア語(ラテン)、スロバキア語、スペイン語、スウェーデン語、タイ語、トルコ語、そしてウクライナ語の言語パックがダウンロードできる。将来的には、ベータ版でリリースされた言語をすべて製品候補版でも利用できるようにしたいと考えている(Windows 7ベータ版でリリースされたヒンディー語は製品候補版ではリリースされていない)。