「Webブラウザの利用に特化した"Lightweight"なOSを作ってほしい」――そんな噂とも願望ともつかない思いをGoogleに抱いていたユーザーは多いことだろう。昨年9月にGoogle Chromeが登場したことで、Google独自のWebブラウザプロジェクトが現実のものとなり、次なるステップは当然そうした"Google OS"へと向かうことになる。そしていま、それが現実になろうとしている。

米Googleは7月7日(現地時間)、ネットブック市場をターゲットにした新製品「Google Chrome OS」を発表した。x86とARMの両プロセッサ上で動作するオープンソースのOSで、2010年にも同OSを搭載した製品が市場に投入されることになる。

Google Chrome OSはLinuxをベースとしたOSで、Google Chromeの動作に特化した軽量で高速さを売り物にしている。起動してから数秒でWebブラウザが立ち上がるのも魅力の1つだ。セキュリティ強化に向けたアーキテクチャの再構築を行っており、ウイルスやマルウェア、あるいはセキュリティ上のアップデートに関してユーザーは気にする必要はない。ただユーザーは作業に専念しているだけで、あとはコンピュータがすべて処理してくれるというシンプルさだ。

またGoogle Chrome OSで特徴となるのがアプリケーション環境だろう。ごく一般的なOSであれば、その上で動作するアプリケーションの開発環境を公開し、広く開発者を集めてくる必要がある。だがChrome OSはWebブラウザに特化した環境のため、Webブラウザ用にアプリケーションを記述すれば、それがそのままネイティブ・アプリケーションとして利用できることになる(Gearsを使えばオフライン動作も問題ない)。逆にChrome OS用に記述したアプリケーションであっても、そのままWindowsやMac、Linuxで動作することを意味する。

Chrome OSプロジェクトは、Androidの派生として新規に立ち上げられたプロジェクトだという。Androidは携帯からセットトップボックス(STB)、ネットブックまで幅広いデバイスをカバーすることを想定しているのに対し、Chrome OSはあくまでWeb中心に作業を行うユーザーをターゲットに開発されている。対象となるマシンもネットブックからフルサイズのデスクトップPCまで、PC系に特化している。当然Androidと重複する面も多いが、この選択の余地がユーザーのとってのメリットになるとGoogleでは説明する。

現在のスケジュールは、2009年末までにChrome OSのコードがオープンソースで公開され、2010年後半にもOEMを経由した製品の出荷が開始される見込みだという。"シンプル"OSを待っていたユーザーはぜひ、来年以降の動向に注目してほしい。