業務の効率化を目的として企業内への導入が加速したPCだが、台数の増加に伴い、ハードウェア資産のみならず、インストールされたソフトウェアの資産をどのように管理するのかといった課題が生じている。「総合人材サービス」を主力事業とする毎日コミュニケーションズも、そんな課題に直面した企業の1つだ。今回は、同社がPCの資産管理をどのように行っているのかを聞いた。

2004年から2005年にかけて同社における主力事業の人材ビジネスが上昇気流に乗っていた毎日コミュニケーションズは、事業の拡大による人員の増加という背景のほかに、個人情報保護法という法制面での対応を迫られるようになる。

同社には当時、約700台のWindows PCが存在していたが、これらのPC資産の管理は、最終的には同社の情報システム部門の担当者が実際にユーザー部門に出向いてチェックしていた。PCの設定変更が必要な場合は、「ほとんど人海戦術で対応していた」(同社 情報システム責任者)のが実態だった。

PC資産を統合的に管理する台帳は当時すでに存在していたものの、購入時の情報を基にしているため、「本当にPCが存在しているのか」「インストールされているアプリケーションは最新版になっているのか」「PCを誰が使っているのか」といった現況を正確に把握することが事実上困難な状況だったのだ。

Active Directoryへの移行と同時にQAWを導入

同社は2004年、それまで複数のWindows NT 4.0ベースのドメインで運用されていた社内ネットワークを、1つのドメインにまとめて統合的なID管理を実現するためにActive Directoryへの移行を決定する。それと同時に、上述のようなPCの資産管理の課題も解決すべく、以下の条件を満たす製品の選定にあたった。

  • 物件が存在しているかどうかがわかること
  • ログインID(リポジトリ情報)を管理できること
  • アプリケーションのライセンス情報を把握できること
  • 特定のソフトウェアがインストールされているかどうかを把握できること(WinnyやSoftEtherなど)
  • パッチの配布やインストールが可能なこと
  • 特定のソフトウェアの起動を禁止できること

当初は「汎用機メーカー系の管理ツールもリストアップした」(同氏)とのことだが、主に価格面での要素を考慮し、最終的にQAWとマイクロソフトのSMSが残ったという。結果としてQAWを導入することになったわけだが、同氏は「両者は機能面ではほぼ同等という印象を受けました。しかし、当時はActive Directoryの能力が未知数だったこともあり、"マイクロソフト製品以外での制御"という環境を残しておきたかった」と、QAWを選んだ理由を語ってくれた。

同社の個人情報保護のルールにのっとり、個人名を伏せています