凸版印刷は、立体形状を計測できるステレオカメラによる三次元計測システムを開発した。

同社が開発したのは、2つのレンズ機構を持ち、対象物の映像だけでなく対象物までの奥行きの情報も同時に記録し、ステレオカメラで撮影した映像データから対象物の立体的な形状データを計測する三次元計測システム。ステレオカメラを対象物に向けて保持し、PC画面に映し出される撮影範囲を確認しながら、カメラのようにシャッターを押すと、その撮影範囲に含まれる三次元形状が取り込める。また、ステレオカメラを少しずつ動かし、対象物を全周囲から撮影することによって、三次元形状を取り出すことが可能になる。

本システムの特徴は、レーザーなどを用いる従来のシステムとは異なり、計測装置自体が小型軽量のため、通常での計測装置では設置できないような狭い場所においても形状の計測が行えること。

同社は、独立行政法人国立文化財機構、東京文化財研究所と共同で東大寺法華堂安置仏像群と、塑像(そぞう)四天王立像(東大寺戒壇院安置)の2度目の形状計測実証実験を実施。安置されている場所が不安定、かつ密集していることから計測が困難だった重要文化財の仏像7体を、本システムを用いて実験撮影した。

新開発された三次元計測システムを用いた計測の風景