日立ソフトウェアエンジニアリング セキュリティサービス本部 本部長 SecureOnline 主席アーキテクトの中村輝雄氏

日立ソフトウェアエンジニアリングは7月1日、プライベートクラウド向けの新サービス「SecureOnline 出前クラウドサービス」を発表した。

SecureOnline 出前クラウドサービスは、企業内にクラウドコンピューティング環境を構築する際に必要となるハードウェア/ソフトウェア/運用ドキュメント等を一式まとめて貸し出すサービス。日立ソフトが提供しているパブリッククラウドサービス(契約すればだれでも利用できる外部のクラウドコンピューティング環境)「SecureOnline」で利用されているものをそのまま貸し出すかたちのサービスで、標準課金モデルの利用料金は、一般的なクラウドサービスと同様、使用したVM数に応じて変動する形態になっている。

SecureOnline 出前クラウドサービスの標準課金モデル

標準課金モデル以外に上記のようなモデルも選べる

上記のような課金モデルでハードウェアからソフトウェアまで一式貸し出すことについて、日立ソフトウェアエンジニアリング セキュリティサービス本部 本部長 SecureOnline 主席アーキテクトの中村輝雄氏は、「多くの場合通常のリースよりも料金が安くなるため、貸し出し待ち状態の遊休資産のことも考えると、事業として成り立たないように思えるかもしれないが、そこはSecureOnlineというクラウドサービスを展開している点に秘密がある」と説明。そのうえで、「遊休資産があれば、SecureOnlineに組み込んでそちらを増強するだけ。あくまでも、SecureOnlineの資産の一部を貸し出しているというかたちなので、事業として問題はない」(中村氏)と解説した。

なお、SecureOnline 出前クラウドサービスには、規模に応じて、「1ラックサービス」、「ミニラックサービス」、「プチラックサービス」の3種類が用意されている。

SecureOnline 出前クラウドサービスのメニュー

加えて、以下のようなオプションも提供される。

SecureOnline 出前クラウドサービスのオプション

SecureOnline 出前クラウドサービスは、9月1日より販売開始予定。日立ソフトでは、2009年度に5社、2010年度に20社、という販売目標を掲げている。

また、日立ソフトは併せて、「SaaSゲートウェイサービス」という新サービスの発表も行った。

SaaSゲートウェイサービスは、その名のとおり、各種SaaS型サービスに対するゲートウェイ機能を提供するサービス。クラウドコンピューティングが本格化すると、クラウド上のサービス同士を連携させなければならないケースも出てくるが、「サービスごとにAPIが異なっており、対応が煩雑。加えて、企業のFirewallで特定のポートを開放する必要もある」(中村氏)といった問題が生じる。これを解消すべく、SaaSゲートウェイサービスでは、サービスへのアクセスを肩代わりし、取得したデータを各企業内の指定されたデータベースにまるごと転送する。

SaaSゲートウェイサービスの概念図

デモでは、Salesforce.comのページ内に、専用APIを使って「Send the Data」というボタンを設置。それをクリックすると、同サービスに登録されたデータをSaaSゲートウェイサービスが取得し、それを企業内のPostgreSQLにコピーされる様子が示された。データを企業内のデータベースに移すことで、ユーザーが自由にデータをいじれるようになり、Excel等でデータを加工することも簡単になるという。

Salesforce.comに「Send the Data」というボタンを設置

Send the Dataボタンをクリックすると、Salesforce.comに登録したデータが自社内のデータベースにコピーされる。上の写真は、それをMicrosoft Office Excelで表示させたときの様子

SaaSゲートウェイサービスは、これからサービスの準備を進めていく予定で、その第一弾として、9、10月を目処にSalesforce.comのデータを取得するサービスが開始される見込み。