理研BSI-トヨタ連携センター(BSI-TOYOTA Collaboration Center: BTCC)は6月29日、125ミリ秒の反応速度で車椅子の脳波コントロールを可能にする技術を開発したと発表した。BMI (Brain Machine Interface)は各社や研究機関が開発を進める最先端技術の1つだが、BTCCの開発したシステムでは素早いレスポンスによりスムーズな制動を実現する点に特徴がある。

これは理研の開発したBSS (Blind Signal Separation)とSpace-Time-Frequency Filteringという2つの技術を組み合わせた成果で、125ミリ秒というレスポンスタイムを実現している。BSSはシステム制御を行う脳波とノイズを分離する技術で、あらかじめ記録された脳波(Electroencephalogram: EEG)のみを利用する。一方のSpace-Time-Frequency FilteringはEEGの電極から出力される振幅データを使って時間と空間のパターンを抽出する。これにより、車椅子の脳波コントロールにおける信頼性を高めているという。EEGデータの解析結果はリアルタイムでディスプレイ表示されるため、車椅子の搭乗者が動作を把握する一助となる。

開発されたシステムは車椅子での利用を想定しており、リハビリテーションのほか、車椅子利用者を物理面と精神面の両方からサポートするものになるという。制御可能な命令は「前進」「右折」「左折」の3種類。認識の正確さは95%となり、同社によればこれは世界でも最も高い水準にあるという。デモストレーション用のビデオが理研から公開されているので、興味ある方は見てみてほしい(Windows Media Videoフォーマット)。