調査会社の米iSuppliが6月24日(現地時間)、毎回恒例となるiPhone 3GSの製造原価予測を発表した。iSuppliが提示するBOM (Bill of Materials)によれば、下位モデルにあたる16GB版の製造原価は178.96ドルで、去年発表されたiPhone 3G 8GBモデルの174.33ドルとほぼ同等という結果になる。プロセッサ強化、高速ネットワーク対応、NANDフラッシュメモリ増量、カメラ機能強化など、目につくだけでも多くの高機能部品への置き換えが行われているが、原価そのままという点で日進月歩のコンピュータ業界の進化を感じられる。

下記がiSuppliの試算した製造原価表の抜粋となる。詳細についてはiSuppliのリリースを参照のこと。「複数サプライヤの可能性」という項目だが、ロットによって仕入れ先となるサプライヤが変化する可能性があることを示している。代替が利きやすい競合の激しい部品ほど「高」となる可能性が高く、価格取引面で不利となりやすい。アプリケーションプロセッサやベースバンドチップほど複数サプライヤの可能性が低く、メモリモジュールなどは代替の可能性が高くなる。

iPhone 3GS製造原価表抜粋

メーカー 複数サプライヤの可能性 コンポーネント内訳 コスト
東芝 NANDフラッシュメモリ(16GB MLC) 24ドル
ディスプレイモジュール(3.5インチ/16M-TFT/320×480) 19.25ドル
タッチスクリーン(ガラス/静電式) 16ドル
Samsung アプリケーションプロセッサ(ARM Core) 14.46ドル
Infineon ベースバンドチップ(HSDPA/WCDMA/EDGE - Dual ARM926/ARM7) 13ドル
カメラモジュール(3M オートフォーカス) 9.55ドル
Samsung(ダイはエルピーダ) Mobile DDR SDRAM(2Gb/アプリケーションプロセッサ上にパッケージング) 8.50ドル
Numonyx メモリMCP(128Mb NOR+512Mb Mobile DDR) 3.65ドル
その他BOM 64.05ドル
BOM総計 172.46ドル
製造コスト 6.50ドル
合計 178.96ドル

またBOMには出現していないが、iPhone 3GSの新機能である「デジタルコンパス」はAKM Semiconductorの電子コンパスとSTMicroelectronicsの加速度センサーの組み合わせで実現されている。また高速化の鍵となるアプリケーションプロセッサだが、従来バージョンのARMコアが400MHzだったのに対し、3GSでは600MHzと1.5倍のクロック周波数となっている。