マツダは15日、自動車の塗料に含まれる揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)および塗装工程のエネルギー消費によるCO2排出量を抑制する水性塗装技術「アクアテック塗装」を開発したと発表した。VOCとCO2の排出量は、世界最高水準の低い値だという。同技術を採用した塗装システムは、広島県の宇品第1工場で4日より稼動を開始。新システムへの切り替えは1色ずつ行われ、来年3月までには全色対応する予定としている。

マツダが新開発した「アクアテック塗装」システム

溶剤として塗料に混合されるVOCは環境や人体に影響を与えるため、揮発による外部への放出を抑えることが必要とされる。自動車の塗装には水性塗料または油性塗料を使用するが、水性塗料に含まれるVOCは油性塗料と比較して少なく、水性塗料を使用することによりVOCを大幅に削減できるという。反面、水性塗料の場合は希釈剤として水が使われるため塗装工程で水分を蒸発させる際のエネルギー消費が大きく、CO2の排出量の増加が課題とされてきたとのこと。

同社では、水性塗装において効率的に塗料の水分を蒸発させるために塗装ブースの空調システムを改良。くわえて高機能塗料の開発を行い、中塗り塗装工程で行ってきた発色性や耐チッピング性などを持たせる機能を上塗り塗装工程に集約させることでエネルギー消費を抑制した。さらに、同社は中塗り、ベース、クリアを乾燥させないまま連続して塗装後、3層の焼き付けを一度に行うことでCO2排出量の低減を図った「スリー・ウェット・オン塗装」を実用化しており、これらの組み合わせにより低いCO2排出量を維持したまま水性塗装を行う技術を確立したという。水性塗装への切り替えを行うことでVOCの排出量を57%削減でき、ボディ面積あたりのVOC排出量は15g/m2とのこと。なお、今回の塗装システム変更による塗装性能への影響は無く、品質は従来以上を達成したとしている。