近藤科学は13日、2足歩行ロボット組み立てキットの新製品「KHR-3HV」を正式発表した。サーボモータ、サーボアーム、フレーム、コントロールボード、モーション作成ソフトウェアなど、ほとんどを新規開発した第3世代のKHR。価格はオープンで、今夏の発売を予定している。

製品発表会は「KHR 5th アニバーサリー」の冒頭に行われた。KHR-3HVを手に掲げる近藤博俊社長

中央が新製品の「KHR-3HV」。これまでのKHR-1(左)やKHR-2HV(右)よりも5cmほど背が高くなっている

「KHR」シリーズは、ホビー向け2足歩行ロボットの先駆け。初代の「KHR-1」は2004年に発売、当時としては驚異的な低価格で人気を集めた。2006年には後継機として、電圧が上がってパワーアップした「KHR-2HV」が発売されている。大きなバージョンアップとしては、3年ぶりということになる。KHRシリーズの仕様比較は以下のとおり。

ロボット KHR-1 KHR-2HV KHR-3HV
自由度 17軸 17軸 17軸
サーボモータ KRS-786 KRS-788HV KRS-2552HV
マイコンボード RCB-1×2枚 RCB-3J RCB-4HV
身長 340mm 353mm 401mm
重量 1200g 1270g 1500g
店頭価格 12万6,000円 8万9,985円 12万円前後(予定)
発売時期 2004年 2006年 2009年(予定)

新製品のKHR-3HVは、17軸という基本自由度は従来と同じだが、ボディの5カ所にサーボモータと同サイズのダミーサーボを使用。これをサーボモータと交換することで、全体の大きさを変えずに、最大22軸まで簡単にアップグレードが可能だ。

腰に3カ所、両腕に1カ所ずつ、ダミーサーボが使われている

5カ所すべてにサーボモータを追加したバージョン。より自然な動きが可能

サーボモータは、「KRS-2552HV」を新規開発。KHR-2HVで使用されていたKRS-788HVと比べると、スピードこそ0.14sec/60°と変わらないものの、トルクは10kg・cmから14kg・cmに大幅強化。パワーアップに伴い、ギヤはすべて金属製となっている。また可動範囲は270°と広くなっており、肩などの動きはより人間に近くなった。

サーボモーター「KRS-2552HV」(手前)は、小型化と高トルク化を実現した

KRS-2552HVの制御方式は、従来のPWM信号を廃止、シリアル信号専用となった。KHR-2HVでは、すべてのサーボモータは直接コントロールボードに接続されていたが、シリアル信号ではサーボモータのデイジーチェーン接続が可能となっており、KHR-3HVの配線は大幅に簡素化されている。

サーボモータはシリアル信号専用に。デイジーチェーンも可能

デイジーチェーン接続により、脚や腕の配線はすっきりした

なお、コントロールボードも新開発の「RCB-4HV」に変更された。サーボモータのシリアル化に伴い、制御端子は8ポートに削減、その一方で、アナログ入力端子は10ポート、デジタル入出力端子は10ポートと、インタフェースは強化されている。モーション作成ソフトウェア「HeartToHeart」もバージョンアップした。

アナログ入力、デジタル入出力が強化された「RCB-4HV」

「HeartToHeart」のインタフェースは一新された

KHR-3HVの販売価格は12万円前後になる見込み。これまでのKHR-2HVは入門用として、そのまま併売となる模様だ。組み立て時間については、KHR-2HVよりも多少難易度が上がっているため、KHR-2HVの「5~6時間」よりは長くなるとのことだ。

KHR-3HVのキットの内容。部品点数はKHR-2HVよりも増えた

商品ラインナップ。ジャイロなどはオプションとなる

正座も可能なフレーム構造が採用された

ソールも新開発。従来のバスタブソールよりも大きい

コントロールボードは背中の大きなバックパックに格納

中はこのようになっていた。ジャイロの格納スペースもある

正面からのショット

こちらは後ろから