計測機器の大手ベンダである米Agilent Technologiesの日本法人でアジレント・テクノロジーは6月2日、15型のカラーTFT液晶タッチパネルディスプレイを内蔵するデジタルオシロスコープ/ミクスドシグナルオシロスコープ「DSO/MSO9000A」シリーズを開発し、出荷を始めた。高速デジタル信号の解析用途を想定したオシロスコープである。これまで同社が販売していた信号解析用デジタルオシロスコープ/ミクスドシグナルオシロスコープ「DSO/MSO8000A」シリーズの後継機種となる。

搭載した15型カラーTFT液晶ディスプレイは解像度が1024×768画素(XGA)と高く、信号数の多い波形の目視による観測が非常に楽になっている。

「DSO/MSO9000A」シリーズを正面から見たところ(アナログ入力チャンネルのボタンが縦に並ぶ、独特の外観である。液晶ディスプレイを外付けする必要はほとんど感じない)

同シリーズにはアナログ周波数帯域の違いとデジタル入力機能の"有り/無し"によって6種類のモデルがある。アナログ入力チャンネルはすべて4チャンネル、デジタル入力チャンネルは"有り"の機種の場合にすべて16チャンネル。アナログ入力の最大サンプリング速度は10Gサンプル/秒(アナログ2チャンネルのみ使用時は最大20Gサンプル/秒)。

価格は、アナログ周波数帯域が1GHzでデジタル入力機能"無し"の「DSO9104A」が244万310円、デジタル入力機能"有り"の「MSO9104A」が293万841円。アナログ周波数帯域が2.5GHzでデジタル入力機能"無し"の「DSO9254A」が342万1,305円、デジタル入力機能"有り"の「MSO9254A」が391万1,839円。アナログ周波数帯域が4GHzでデジタル入力機能"無し"の「DSO9404A」が459万8,518円、デジタル入力機能"有り"の「MSO9404A」が508万9,049円。

アナログ入力の波形メモリは標準で1チャンネル当たり10Mポイント(アナログ2チャンネルのみ使用時は1チャンネル当たり20Mポイント)。オプションで波形メモリを1チャンネル当たり500Mポイント(アナログ2チャンネルのみ使用時は1チャンネル当たり1Gポイント)まで増やせる。波形更新速度は300回/秒。

デジタル入力のサンプリング速度は最大2Gサンプル/秒。波形メモリはサンプリング速度が2Gサンプル/秒のときに128Mポイント/チャンネル、サンプリング速度が2Gサンプル/秒未満のときに64Mポイント/チャンネルである。

本体の外形寸法は高さ33cm×幅43cm×奥行き23cm。本体重量は11.8kg。外形デザインは独特で、既存の機種では本体背面に配置することが多かったコネクタ類をすべて、"DSO/MSO9000A"シリーズでは本体左側面に配置した。このためケーブル類を接続するときの使い勝手が、著しく向上している。本体背面には放熱用ファンの開口部がある。本体右側面には何も配置しておらず、ほかの計測機器や電源などを近接して置ける。

「DSO/MSO9000A」シリーズを左側面から見たところ(電源コネクタを含め、コネクタ類はすべて左側面に配置されている。中央上部の細長い開口部はリムーバブルディスクの装着用である)

「DSO/MSO9000A」シリーズを背面から見たところ(コネクタ類が存在せず、放熱用ファンの開口がある。冷却用空気は本体底面から取り入れてファンの開口部から逃がす構成)

「DSO/MSO9000A」シリーズを右側面から見たところ(何も配置されていない)

また、同シリーズは、オプションでさまざまな信号規格の解析機能が用意されている。主なものとしては、I2C/SPIのトリガおよびデコード機能のオプション、RS-232/UARTのトリガおよびデコード機能のオプション、CAN/FlexRayのトリガおよびデコード機能のオプション、PCI Expressのプロトコル解析オプション(アナログ入力帯域4GHzのモデルだけが対応)、USBのプロトコル解析オプション、USB2.0のコンプライアンステスト機能オプション(アナログ入力帯域2.5GHzおよび4GHzのモデルだけが対応)、DDR/DDR2/DDR3のコンプライアンステスト機能オプションなどがある。

I2Cバスのデコードを実行中の画面(液晶ディスプレイが大きいので、信号波形や文字などが非常に見やすい)