フランス料理やイタリア料理、中華料理。日本人にとって慣れ親しんだ各国料理といえばこれらが三大料理といえるのだろうが、韓流ブームにより韓国料理も私たちにとって近しい存在になってきている。そこでここでは、韓国・ソウルの人気料理店の料理を紹介しながら、韓国料理を学んでいこう。韓国旅行時はもちろん、日本で韓国料理を食べるときにも役立つ知識が満載! まずは韓国料理の定番、サムゲタン、ビビンバ、冷麺編だ。

居酒屋でもおなじみ、ビビンバは全州発祥

まずはビビンバ。正式な発音だと「ピビンパプ」。「ピビン」は"混ぜる"、「パプ」は"ごはん"を意味していて、ごはんとその上にトッピングしたナムルや色とりどりの具材をよく混ぜて食べる、いわば混ぜご飯。日本では石焼ビビンバが定番となっており、居酒屋でも見かけるほど。この石焼きタイプが登場したのはここ30,40年ほどのことだという。

「古宮仁寺洞店」

韓国でビビンバの名店といえば数え切れないほどあるが、観光客だけではなく地元のサラリーマンも多く訪れる「古宮(コグン)」を紹介しよう。日本人観光客でごった返すソウルの中心地・明洞にも店舗があるが、今回は若者向けのおしゃれな店が建ち並ぶ仁寺洞(インサドン)店を。

「古宮」(住所: ○(金へんに重)路区寛勲洞38)は宮廷料理を基本にしている高級店で、ビビンバも他店と比べるとややお高め。その分食材にもこだわっており、現地でも評判が高い。この店の一押しは、ビビンバの発祥の地・全州の伝統の味を再現した「全州伝統ビビンバ」(11,000w)。とろけるようなユッケ、卵黄、そして豆もやしなど数種類のナムル、ナツメや銀杏などの木の実類など、30種類ほどの色とりどりの具材がごはんの上に美しく並べられ、程よく温められた真鍮の器で提供される。コチュジャンが添えられており、全体をよく混ぜ合わせてから食べる。

「全州伝統ビビンバ」(11,000w)

それぞれの食材はそれほど濃い味付けではなく、素材の味を生かした洗練された味わい。味の決め手のコチュジャンも、辛さがたつというよりは旨味があって上品。混ぜ合わせてからもそれぞれの味わいや食感が異なるので、飽きずに食べられる。ビビンバの前には、キムチや海草の和え物など、ヘルシーな8種類の小皿料理がサービスされる。もちろん日本でおなじみの「石焼ビビンバ」(8,800w)もある。

ビビンバをオーダーすると、こんなにもたくさんの小皿料理が。キムチやコチュジャンソースのサラダ、チヂミなどがズラリ

あわせたお酒は薬酒の「sansachun」(アルコール度数14%)。きれいなピンク色で、イメージ的には日本の生酒に山査子(サンザシ)の香りをプラスしたような感じで、甘くて飲みやすい。こちらでは生でショットグラスに入れて飲む。ちなみに、日本で販売されている「JINRO」も、韓国ではショットグラスに入れてストレートで楽しむことが多い。

薬酒の「sansachun」

日本でも定着しているビビンバ。ブームが定着すれば、アレンジにも注力していくのは自然の流れで、チーズやマヨネーズなどをプラスして独自のメニューを提供している店もある。超定番とアレンジメニューを食べ比べてみるのも楽しいだろう。

辛くない韓国料理、参鶏湯

参鶏湯の名店「土俗村(トソクチョン)」

一般に辛いというイメージを持たれる韓国料理だが、実は定番料理の中にも辛くないメニューは多々ある。参鶏湯(サムゲタン)もそのひとつで、丸鶏のお腹にもち米や朝鮮人参、ナツメやニンニク、栗など薬効のある素材を詰め込んで煮込んだスープ料理。夏の暑いときなどにスタミナ食として食べられていて、「食べたら風邪が一発で治った! 」という話も聞く。

韓国でも人気の健康食とあって、専門店も多くある。ここでは、世界遺産「景福宮」に程近い場所にある「土俗村(トソクチョン)」(住所: ○(金へんに重)路区体府洞85-1)の参鶏湯を。この店は、韓国の伝統家屋・韓屋だった建物を使っていて風情がある。看板メニューの「参鶏湯」(13,000w)は、白濁したスープが特徴。このスープがとにかく濃厚で、クリーミー! ほろほろと崩れるほどやわらかく煮込まれた丸鶏の中には、もち米、ごろっとした朝鮮人参やクルミ、銀杏などががたっぷり詰まっている。しかし漢方のにおいは控えめで、鶏から出た凝縮感のある旨味にうっとり。

濃厚スープが特徴の「参鶏湯」(13,000w)

塩気は控えめで、食べ飽きてきたら卓上の塩や胡椒を加えて食べると味の変化が楽しめて楽しい。食前酒としてお猪口で出てくる人参酒は、朝鮮人参を漬け込んだ薬酒。朝鮮人参の香りが漂い、いかにも身体によさそう! といった印象。飲むと食欲が刺激され、食前酒としての働きをまっとうしてくれる。

食前酒の人参酒とキムチ、ニンニクスライス。韓国の韓国料理店では、ほとんどの店でキムチは食べ放題

日本では主に韓国料理専門店で食べることができ、東京の新大久保や麻布十番あたりには専門店もある。朝鮮人参の香りが苦手な日本人向けにマイルドなタイプも多く、鶏肉とスープが入ったパック式での通販商品もある。スープの味にはお店ごとの違いが大きいので、好みの味を探してみてはいかが。材料さえ集めればレシピは簡単なので、自宅でつくってみるのもよいだろう。