「クリエイターとは何か? -まとめて読みたいクリエイター名言集」に続き、マイコミジャーナルのインタビューでクリエイターたちが語った「クリエイターになる方法」に関する発言を集めた。クリエイターたちはどのようにして、「プロ」のクリエイターになったのだろうか? そのヒントが、これらの発言の中にある。

ただ表現すればよい

マンガ家としてデビューしてから、映像作家となったタナカカツキ

マンガ家としてデビューした後、映像作家としてもその価値を確立したタナカカツキ。彼は、自身のデビュー当時と現在のツールの能力などの違いを例に挙げ、クリエイターを目指す人々にとってより有利でオープンな環境が用意されていると語った。

タナカカツキ「僕は40歳なんですけど10代、20代の頃は自己表現の欲求が凄いありました。でも閉ざされた世界だった。ほとんど自分の表現を世に問う手段がなかったんです。でも、今はツールでも、出力する環境でも、いくらでも手段がある。ただ、やるだけでいいんです。とにかく、やればいいんですよ。今の若い人の環境が羨ましいです。僕の場合はマンガを描いても、まずは出版社の編集者に認められなければ世に出す事が出来なかった。今の時代はただ書いてwebで公開すれば、世界中に発信できる。羨ましいですよ。ただ表現すればいいんです」

アウトプットし続けることが大切

ゲームメーカー勤務から一転、映像作家となった東弘明

布袋寅泰、元ちとせ、Crystal Kayなど、多くの人気アーティストの楽曲PVを手掛ける映像作家の東弘明は、勤勉に創作を継続することこそが、クリエイターへの道だという。

東弘明「常に作品を創る、アウトプットし続ける事が大切だと思うんです。企画を暖めておくのではなくて、考えたことはすぐに作っておく。それを作って他人に見せれば、絶対に見つけてくれる人がいるので、口よりもまず手を動かす。不器用なりにも形にすることがいちばん大事だと思います」

誰かが才能を見つければプロになれる

PFF出身の矢口監督は、アマチュアとプロの差について、語った

プロとアマチュアに才能の差はないと言い切ったのはコメディ映画を創り続ける矢口史靖監督。矢口監督は「誰かに才能を見つけられること」こそがプロへの道だという。

矢口史靖「自主映画を作っている人も、プロでやっている人も、それほど能力に違いはないと思います。これは面白いというアイデアさえ持っていれば、技術なんて後から付いてくるんですよ。面白い事を考えてる人が、面白い映画を作るのだと僕は思います」、「プロで面白い映画を何本も作っている監督が沢山いますけど、それは企画・脚本の力も大きいんですよ。ダメな企画を監督すれば、良い監督でも、やっぱりダメな作品になる。でも自主映画は企画・脚本から自分で出来るので、面白いアイデアさえあれば、資金が少ないという壁さえ越えれば、面白い作品が出来上がると思うんです。その能力がある人は続けていれば、いずれプロになっちゃうんです。その才能を誰かが見つければ……」

壊すことを意識して創作するという長添雅嗣

PVディレクターとして活動する長添雅嗣も、クリエイターとして、プロとアマに大きな差はないと語っていた。

長添雅嗣「別にプロだからって特別なツールを使ってるわけじゃないですから。土俵は同じです。僕は学生のとき、プロの人はボタン1個で凄い作品を創るんだろうなとか想像していたのですが、結局プロを見たらみんな徹夜して、チマチマチマチマと作ってるんです。だから大学生と変わらないんですよ。発表の場さえあれば、創った者の勝ちじゃないかと思うんです。で、アイディアがさらに面白ければ、いくらプロの作品が綺麗で美しくても、俺はそっちの方がいいんじゃないかなと思うから、皆さんもどんどん作ってください」

何も考えずに飛び込んでいい

実写版『機動戦士ガンダム』が夢だという小坂一順

最後に、様々な邦画作品でVFXスーパーバイザーとして活躍する小坂一順の言葉を紹介しよう。文系の学生だった小坂は、完全に独学でCGを学んでからCG制作会社に就職した。

小坂一順「完全に独学ですね。ほんとに学校も数が限られていましたし、入るにはそれなりのお金もかかるのですが、そんなお金もなかったので」、「この世界は、もう入ってしまって努力していれば、出来るようになると思うんで、まずやりたいなら飛び込むことですね。何も考えずに飛び込んでいいと思います」


インタビュー撮影:石井健、岩松喜平、中田浩資