ミュージッククリエイターのためのイベント

東京・ラフォーレミュージアム六本木にて、音楽制作ソフトウェア「Cubase」シリーズなどの開発元として広く知られるSteinberg(スタインバーグ)社による、クリエイター/ミュージシャンのためのスペシャルイベント「The Steinberg Day 2009」が開催された。有名アーティストやエンジニアがSteinberg製品についての熱いトークやセミナー、ライブパフォーマンスなどを繰り広げ、大変な盛り上がりを見せたイベント当日の模様を早速レポートしていこう。

DAWによる音楽制作の過程をプロが語る

「The Steinberg Day 2009」は、CubaseをはじめとしたSteinberg製品の魅力を紹介すると共に、Steinberg社の創立25周年を記念して行われたスペシャルイベントとなっており、当日はPafumeなどの音楽プロデュースを手がける中田ヤスタカからのビデオメッセージ、大島崇敬氏、江夏正晃氏を講師に迎えたCubaseセミナー、寺嶋民哉のトークセッション、浅倉大介と守尾崇によるライブなど、Cubaseユーザーはもちろん、これから音楽制作をはじめてみたいユーザーにとっても楽しめる非常に充実した内容であった。

中田ヤスタカ(capsule、プロデューサー)のビデオメッセージで幕をあけた本イベント。最初のセッションは、スムルース、AIRMASTER、MagentaBeach など、個性派アーティストのサウンドプロデュースを手がける大島崇敬氏による実践的セミナーだ。自身がCubaseで制作したプロジェクト(楽曲)を題材に、最新DAWソフトウェア「Cubase 5」が解説されたが、特にVSTプラグインについての詳細な説明が行われており、実際にどのような種類のインストルメントやエフェクトを、どのような手法でトラックに適用しているかが目の前で再現されていたので、参加したユーザーもその魅力やメリットをダイレクトに実感することができた。

単なる製品詳細にとどまることのない実践的なセミナーは、ユーザーからも注目を集めていた。セミナーでは、具体的にCubase 5の活用方法が紹介され、新機能の魅力を体感することができた

また、セミナーの後半では、Cubase 5の新機能「VariAudio」も紹介された。オーディオ/MIDIにオールマイティーなアドバンテージを発揮するCubaseは、まさに次世代の音楽環境に相応しいとの感想が大島氏より述べられた。

すぐに使える音楽制作テクニックも披露

続いて、兄弟ユニット「ebee」のebee#1こと江夏正晃氏によるセミナーでは、ユーザーが自宅に帰ってから、すぐに自分の音楽制作で役に立つ具体的なノウハウを多数盛り込んだセッションが披露された。本セミナーは、「ディレイの活用方」、「音色を動的にコントロールする手法」、「簡単マスタリング方法」など、的確に要点を絞りながらCubase 5の各機能が説明された。その模様は、まさに音楽制作講義。一般ユーザーには普段見ることのできないプロアーティストの音楽制作の過程を垣間見れる貴重な時間となった。

Cubaseユーザーにとってすぐに活用できる様々なプロのテクニックが満載された講義では、細かくメモをとるユーザーの姿も見受けられた

イベント後半のセッションでは、映画「ゲド戦記」の音楽を手掛けた作曲家である寺嶋民哉が登場。ヤマハ・デジタルインストラクターとの対談形式で、映画音楽やポストプロダクションの世界におけるCubaseやNuendoの活用事例や実際の作業の様子などを、コンポーザーならではの視点から紹介するトークセッションが行われた。

トークセッションでは、様々な映像作品のサウンドトラックなど手がける寺嶋から見た、Steinberg製品のアドバンテージや魅力が語られた

イベントの最後には、「XSPAND YOUR WORLD」と題された、浅倉大介(access、Iceman、プロデューサー)と、守尾崇(作曲・編曲家・キーボーディスト)による、ヤマハ・シンセサイザーおよびSteinberg製品を活用したスペシャルライブが開催され、ユーザーの興奮冷めやらぬままに盛り沢山のイベントは締めくくられた。

イベント会場では、イーフロンティア、エムアイセブンジャパン、クリプトンフューチャーメディア、ディリゲント、M.I.D.、ハイリゾリューション、フックアップ、メディアインテグレーションなど、各メーカーによる最新のVSTプラグインの体験コーナー「VST PlugIn Zone」が設けられた

Steinbergやヤマハの最新音楽制作用ツールを、自分の目と耳で体験できるハンズオン展示コーナーや、ステージ入口付近に設けられた特設デモンストレーションブースなども、多くの来場者から人気を集めていた

近年のめざましいテクノロジーの発展により、音楽制作環境は激変し、従来では不可能、もしくは非常に面倒な作業が短時間でソフトウェア内部で処理可能となってきている。The Steinberg Day 2009は、そんな最新の音楽制作環境を体感できる貴重なイベントとなった。