大手計測機器ベンダTektronixの日本法人である日本テクトロニクスは5月26日に東京で記者会見を開催し、同社のリアルタイム・スペクトラム・アナライザ「RSA6100Aシリーズ」の機能を強化するオプション「オプション200」の販売を即日開始したと発表した。

"RSA6100Aシリーズ"は日本テクトロニクスが2006年に発売したスペクトラム・アナライザ。高速のアナログデジタル変換と高速離散フーリエ変換、統計処理などにより、取り込み帯域幅内のスペクトラムを出現頻度とともにリアルタイムでカラー表示する。既存のスペクトラム・アナライザ(掃引型スペクトラム・アナライザ)が周波数掃引によって帯域幅内の信号スペクトラムを表示するのに比べると取り込み帯域幅は狭いものの、きわめて高速に信号スペクトラムを出現頻度とともに表示するという特長を有する。このため同社では"リアルタイム・スペクトラム・アナライザ"と呼称することで既存の掃引型スペクトラム・アナライザと区別していた。

"RSA6100Aシリーズ"が信号を連続して取り込める帯域幅は標準で最大40MHz。オプション「オプション110型」を搭載したときに最大110MHzである。周波数測定範囲が9kHz~6.2GHzの「RSA6106A型」と、9kHz~14GHzの「RSA6114A型」が用意されている。本体価格(税別)は前者が978万円、後者が1,060万円である。

リアルタイム・スペクトラム・アナライザ「RSA6100Aシリーズ」の動作原理(1秒間に4万8,828回の高速離散フーリエ変換を繰り返す。日本テクトロニクスはこの技術を「DPXエンジン」と呼んでいる)

リアルタイム・スペクトラム・アナライザ「RSA6114A型」の外観(周波数測定範囲は9kHz~14GHz)

今回投入した「オプション200」は主に、以下の3つの機能を「RSA6100Aシリーズ」に追加する。1つ目は、周波数測定範囲全域にわたる周波数掃引機能(同社では「DPX掃引」と呼んでいる)、2つ目は、大振幅の信号と周波数帯域が重なる小振幅の信号をトリガとする機能(同社では「DPX Densityトリガ」と呼称)、3つ目は、時間ドメインの信号でトリガをかける機能(同社は「時間ドメイン・トリガ」と呼称)である。特に周波数掃引機能は重要で、掃引型と同等の広い周波数帯域で、信号波形の出現頻度を表示できるようになったことを意味する。

また"オプション200"では、高速離散フーリエ変換の速度を29万2,969回/秒と大きく高めている。この結果、間欠的に発生する信号の捕捉率が上昇した。例えば持続時間が10.3μsあれば、パルス状の信号でも必ず捕捉できるようになった。従来は24μsを必要としていた。そのほか、水平方向の分解能を801画素と従来の約2倍に増やすとともに、カラー表示の階調数を8Gレベルと従来の65kレベルから大幅に増やした。

オプション200の周波数掃引機能を使用した例(測定条件は中心周波数1GHz、掃引周波数範囲1GHz)

オプション200で小振幅の信号をトリガに設定した画面(画面中央の四角い枠で囲んだ信号をトリガーとした)

オプション200のDPX技術の概要(日本テクトロニクスは「第2世代のDPX」と呼称する)

オプション200の価格(税別)は、「RSA6106A型」または「RSA6114A型」とまとめて購入する場合が124万円、すでに購入済みの「RSA6106A型」または「RSA6114A型」に追加する場合が158万円である。