「HT-03A」を手に戦略を説明するHTC Nipponのデビッド・コウ社長

HTC Nipponは20日、前日にNTTドコモから発表された同社製スマートフォン「HT-03A」に関する報道関係者向けの説明会を開催し、同社代表取締役社長のデビッド・コウ氏が新製品投入の意図と今後のスマートフォン市場の見通しについてプレゼンテーションを行った。

同社は2008年10月、世界初のAndroidプラットフォーム採用携帯電話「T-Mobile G1」を米国の携帯電話事業者・T-Mobile USAを通じて発売し、2009年4月には第2弾となる「HTC Magic」を欧州市場などで発売した。現時点においても、商品として販売されているAndroid携帯電話を製造する世界唯一のメーカーである。

右は欧州でVodafoneがHTC Magicを発表した際の模様で、Google本社がある米カリフォルニア州からシュワルツェネッガー知事も参加した

今回、日本市場初のAndroid携帯電話として登場したHT-03Aは、HTC MagicをベースとしながらNTTドコモ向けのカスタマイズを加えたもの。Googleが提供する各種Webサービスとの連携を最大のセールスポイントとしており、ドコモも「ケータイするGoogle」を商品のキーワードとしている。

FOMA網への最適化が行われている以外ハードウェアはHTC Magicと共通だが、HT-03Aだけのオリジナルアプリとして「ポケット羅針盤」がプリインストールされている。内蔵のG-sensor(地磁気センサー)を利用したアプリで「コンパス」「水平器」「ランドマーク」「星空鑑賞」の4機能が搭載されている。ランドマークは本体が向いている方向にある世界の著名スポットまでの距離を表示するもので、星空鑑賞は本体を空に向けるとその方向の星図を表示するものだ。Android携帯ではアプリ配布サービスの「Androidマーケット」を利用してアプリをダウンロードすることができるが、このポケット羅針盤はAndroidマーケットでの提供は行われないという。

Androidマーケットから多彩なアプリを自由に入手できるのが特徴だが、「ポケット羅針盤」はHT-03Aだけのオリジナル機能となる

HTCはこれまでWindows Mobile搭載スマートフォンのみを手がけてきたが、コウ社長は「単一のOSですべての需要を満たすことはできないと考えており、Windows MobileとAndroidは補完的な関係」と説明する。スマートフォンにはタッチパネル型/QWERTYキーボード型/両搭載型、ストレート型/スライド型などさまざまなタイプの製品が存在するが、OSでも複数の選択肢を提供する方針であるとした。

また、1997年の設立以来、PDA・スマートフォン専門のメーカーとして事業を拡大してきており、多くの経験を積んできたことを強調。ここ数年は「MicrosoftがWindows Mobileの新バージョンを発表するときは、ビル・ゲイツ氏やスティーブ・バルマーの横に(最初のハードウェアベンダーとして)必ずHTCのトップが登壇している」(コウ社長)といい、Windows Mobileに続いてAndroidにおいても同様に最初のハードウェアベンダーとなれた栄誉をアピールした。

同社は以前にも増して日本市場に注目しているといい、それは全世界向けの製品が海外で発売されてから、日本市場向けの製品が発売されるまでの期間が短くなっていることにも表れている。かつては海外での発売から国内発売までに1年以上を要していたこともあったが、昨年発売した「Touch Diamond」は海外発売から日本のイー・モバイルが発売するまでの期間は約4カ月に縮まっており、今回の場合HTC Magicの発売から2カ月程度でHT-03Aが発売される予定。「最善の努力をしてできるだけ早く製品を届けたい。日本のユーザーにも他地域のユーザーと同時に体験していただきたい。世界でHTC Magicが出たというニュースを見た日本のユーザーに『海外でAndroidが出たのか。でも日本は半年待たなきゃいけないな』なんて思いはしてほしくなかった」(同)

以前は国内向けの製品を用意するまでにかなりの時間を要していたが、次第に日本もグローバル市場に遜色ない発売タイミングになってきている

コウ社長は、現在はまだAndroidでの開発を開始して間もない時期のため、無償のOSを採用したとはいえ実際にはかなりの開発コストがかかっているが、今後Android採用機種が増えるにつれてそれは低減すると説明する。ただし、OS自体よりもサービスやアプリケーションの開発にかかるコストのほうが大きく、携帯電話の価格に占めるOSのライセンス料は割合としては小さいため、Androidは無償だから携帯電話の価格が下がるのではないかという意見には否定的な見方を示している。

不況の影響で携帯電話全体の販売台数は落ちているが、スマートフォンに限って見れば成長を見せており、同社の事業は好調であるという。話題性の高いAndroid搭載製品を他社に先駆けて市場投入することにより、同社はスマートフォン市場における優位性をさらに確かなものにしたい考えだ。

HT-03Aを加えると、HTCが日本に投入した製品は18機種となる