マイコミジャーナルの独占インタビューにて、これまで、様々なジャンルで活躍するクリエイターたちが、創作に関する話をきかせてくれた。彼らの言葉には、創作・制作現場の第一線で活動している人間ならではの重みがあり、またクリエイターを目指す人々へのヒントとなる何かが隠されている。そんな彼らの発言をいくつかピックアップして紹介する。また、この機会に彼らのロングインタビューを熟読してみて欲しい。

酒井景都が創る理由

クリエイターとしても活躍する酒井景都

モデルや、中田ヤスタカとの音楽ユニット「COLTEMONIKHA(コルテモニカ」としての活動で知られる酒井景都。彼女は自身のファッションブランド「Made in COLKINIKHA(メイド イン コルキニカ)」を立ち上げ、デザイナーとしても活動している。彼女は自身が創作する理由を、こう語ってくれた。

酒井景都「自分の頭の中にある好きなモノ、アイディアやファンタジーを具現化していくっていう行為が、楽しくてやめられないんですよね。それが、日々の生活の充実感に繋がっています」

青池良輔の語る「創る才能」とは?

Flashアニメの制作スタイルを確立させた青池良輔

続いてマイコミジャーナルにて好評連載中のマンガ&エッセイ「創作番長クリエイタ」の作者でもある青池良輔。クリエイターを目指し単身カナダに渡り、「ひとりでFlashアニメーションを創る」というスタイルを確立・普及させた彼の、「創る才能」に関する興味深い発言。

青池良輔「パソコンの前で、こんなおっさんが泣きそうになりながら『もうできないよ、眠たいよ~』とか言いながらやってますよ。でも、そう言いながらも作ることが持久力だと思うんですよ。それが出来る、出来ないという部分も、才能のひとつとしてカウントしていいと思います」

FROGMANの考えるクリエイターに必要な条件とは?

Flashアニメというジャンルに市民権を与えたFROGMAN

青池良輔に影響を受けてFlashアニメを始めたというFROGMAN。彼は、クリエイターになるために、自身の能力を冷静に判断するということの大切さを、自身の作品同様に、優しくも厳しい比喩を織り交ぜながら語った。

FROGMAN「自分で気づいてダメだと思うんだったら、もっと違う道や方法っていうのも考えて欲しいなって思いますね。ブスなのにモデルになろうとかそれは無理じゃないですか。やっぱり気づかなくてはいけないんですよ。頭悪いのに博士になろうとか、コネもないのに総理大臣になろうとか無理じゃないですか。そしたらこういう方法もあるんじゃないって。僕は映画監督になりたかったけど、ダメだった。でもFlashアニメからいったら、映画監督に近づいたんです」

特撮マン出身の映画監督たちの叫び

特撮監督から映画監督になった樋口真嗣

『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の樋口真嗣監督と、フルCG映画『バイオハザード ディジェネレーション』でデビューした神谷誠監督。この両者は特撮監督として日本映画界を影からサポートしてきた。ちなみにこのふたりは、平成『ガメラ』3部作、『日本沈没』といった作品で共に仕事をしている。特撮マンとして苦労してきた両者の創作に関する発言は興味深い。

樋口真嗣「(特撮監督時代は)現場でも、一段下のランクという扱いでしたしね(笑)。撮影に関して様々なアイデアを出しても、『特撮屋が何をいってるんだ』という雰囲気もありましたし……。その頃に比べたら、最近はVFXの大切さも理解されているし、状況は良いと思います」

樋口監督同様に特撮マンから監督になった神谷誠

神谷誠「世の中の映画監督には『特撮屋あがりが何やってんだ』なんて言う人もいますけれど、そんなに違いがあるとは思っていないです」、「いかにモノを作りたいという情熱があるか、人生を棒に振ってでもそれに賭ける覚悟があるかないかの差じゃないかと思うんですよね」

若きヒットメーカーのクリエイティブ力とは?

ヒット作を生み出す秘訣を語る川村元気

28歳の若さで『電車男』、『デトロイト・メタル・シティ』、『陰日向に咲く』など様々な大作映画のプロデューサーを務めた川村元気。彼は、どのようにしてクリエイターとして活路を開いてきたのであろうか?

川村元気「僕のような若いプロデューサーたちは、常識がない(笑)。非常識の力。むしろ、そこにしか、面白い作品を作るための活路がなかった。ベストセラーは先輩たちが映画化しちゃうんだから、そこしかなかったんです。企画立ち上げ時は、ある種、隙間産業的な目線ですが、そんな新しい物をちゃんとメジャー作品として提案して成立させれば、お客がちゃんと評価してくれる」

明和電機・土佐信道の考えるクリエイティブとは?

冷静に言葉を選びながらクリエイティブについて語る明和電機・土佐信道

最後に、明和電機・土佐信道の言葉を紹介したい。ナンセンスな楽器を自作し、演奏パフォーマンスを行うというオリジナル過ぎるスタイルを確立したアーティストは、クリエイティブと人間について、こう語った。

明和電機・土佐信道「根本的に人間の脳はクリエイティブなものなんです。人間が地球に生まれて、『とにかくなんとか生きていかなければならない』という思考錯誤の連続の最終地点が人間の脳なんですから。発想が浮かばないという人はよくいますが、発想が浮かばないという発想自体がクリエイティブなんですよ」

撮影:岩松喜平、中村浩二、石井健