肉骨茶専門店「新記」

魚貝の次は肉の話。マレーシアには独自の料理「肉骨茶」(バクテー)がある。コタキナバルでも屋台に行くと食べることができる。肉骨茶とは、スペアリブ(骨付きの豚バラ肉)を漢方スープで煮込んだもの。「漢方スープ」と聞くと「ちょっと……」と思うかもしれない。「好き嫌いしていては仕事にならない」とこれまでにスズメ、蜂、アリを食べてきた私も、正直、黒いスープを見たときはかなりドキドキした。しかし、スープを口に運ぶと豚の旨味がストレートに伝わってきて、でも後味はさっぱり。漢方特有の苦味などはまったくないが、油っぽさが感じられないのはやはり漢方のおかげなのだろう。

肉骨茶(1人前200円強)には肉団子や内臓肉が具材に。油条(1皿30円弱)やおかずがズラリ

具材には肉団子が入っていて、油条(揚げパンのようなもの)をスープに浸しながら食べるのもオススメ。ごはんにスープをかけながら雑炊のように食べるのもよい。スープを飲んでいるうちに体がポカポカしてきて、「漢方が効いているぅ~」と実感。さっぱりとしたスタミナスープといった感じ。

一緒に出てくる様々なおかずを食べつつ、別皿のニンニクのみじん切りやチリソースをスープに加えていくと、味に変化が出て飽きが来ない。ものすごい勢いでパクついていると、あっという間にお腹いっぱい。と思ったら、店員さんがスープを足しに来る。スープは飲み放題のスタイルがマレーシアでは普通のよう。その日は、タプンタプンになったお腹をさすりながら、ホテルへと帰った。

肉骨茶は土鍋で温めて出してくれる。供されるのも保温効果のある土鍋なので、アツアツが楽しめる

紅茶がよく飲まれるコタキナバル

スーパーや商店で売られているサバティー。ティーバッグタイプとリーフタイプがある。ティーバッグ100パック入りでも300円程度

ホテルに帰る途中、車の窓から「スターバックス コーヒー」が見えた。松本さんに聞くと、コタキナバルには2軒あるのだそう。「コタキナバルにはたくさんクダイコピがあるよ」と松本さん。クダイコピとは喫茶店の意味。「コーヒーもよく飲まれるけれど、どちらかと言うと紅茶文化かもしれないですね」とのこと。確かに、スーパーに行くと「サバティー」と書かれた茶葉がずらりと並んでいた。「サバティーはコタキナバルの家庭で日常的に飲まれているものですよ」。実際に飲んでみると、ダージリンやアッサムのように香りは強くないが、その分ほうじ茶のような感覚でゴクゴクと飲める。

コーヒーはと言うと、ミルクを入れたカフェオレがよく飲まれ、練乳が入った甘いタイプが多いと言う。そういえば、台湾に行った際、コンビニで買った緑茶が甘くてビックリした。緑茶もコーヒーも紅茶も、加糖タイプがスタンダードのようだった。何も書いてないものを買うとほぼ加糖で、無糖がほしければ「無糖」と書かれているものを買わないといけないのだ。商店で購入したビールが加糖だったときはさすがに言葉に詰まってしまったけれど。……加糖タイプがスタンダードなのは、暑い国ならではの風習なのだろうか。

ホテルの朝食は……

トロピカルフルーツがズラリ

最後に、ホテルの食事に触れてみよう。今回はかなり活発に動いたのでホテルでは朝食しかとっていないが、南国ムードを満喫できるメニュー内容だった。泊まったのは「シャングリ・ラ タンジュンアル リゾート & スパ コタキナバル」。欧米系の旅行者だけではなく、中国系も多く、さらには韓国・仁川空港からの直行便が出ている影響か、韓国人の宿泊客もいた。ワールドワイドな宿泊客がいるので、朝食メニューも多国籍。その場で麺を茹であげてくれるフォー、マレー料理、オムレツなどの洋食、そしてトロピカルフルーツとジュース! ビタミンカラーの新鮮なフルーツを見ているだけで、元気が出てくる。一通りのメニューを滞在中かけていただいたあと、ふとドーナツに目が留まった。「クリスピー・クリーム・ドーナツ」のような、ふんわり食感の円形ドーナツには、色とりどりのアイシングが。「うぅ、お腹いっぱい……」なんていいつつ、ついついパクついてしまう。

フォーは茹でたてをいただける。ドーナツは小ぶりにつくられているので、いろいろな種類が楽しめる。そんな配慮がうれしい

新鮮魚貝を使った料理も、伝統的なローカル料理も、フレッシュフルーツも、日本人にとってはなじみの良い味のはず。若い人だけではなく、年配の方もきっとおいしくいただける料理がコタキナバルにはたくさんある。