アリババは28日、同社が提供する「中国向け輸出支援サービス」について、ネットプライスドットコムと提携し、日中間の貿易取引の際に発生する各種作業などをオンライン上のみで行うことができる「オンライン貿易サービス」の提供を開始したと発表した。

「オンライン貿易サービス」を共同で提供開始した、アリババ日本法人代表取締役社長の香山誠氏(左)とネットプライスドットコム代表取締役社長兼グループCEOの佐藤輝英氏

アリババでは2009年1月から、中国の輸入業者とのビジネスマッチングや交渉、決済などの総合的支援を行う「中国向け輸出支援サービス」を開始。アリババでは従来、中国の商品を日本のバイヤーに卸売りする仲介サービスを行ってきたが、中国向け輸出支援サービスでは、日本の輸出事業者向けに、日本の商品を中国のバイヤーに卸売りするためのビジネスマッチングを支援するサービスを提供している。

今回アリババは、日本国内でEコマース事業を展開するネットプライスドットコムと提携。これまで日中間貿易を行ったことのない企業でも、オンライン上の手続きだけで中国に商品を販売することができる「オンライン貿易サービス」を28日から提供開始した。

「オンライン貿易サービス」では、取引先開拓から決済、商品配送、通関業務代行などのサービスを提供する

同サービスでは、中国最大のBtoB取引サイト「アリババ」や、BtoC、CtoC取引サイト「タオバオ(淘宝網)」などを展開するアリババグループのネットワークを活用。このネットワークに参加している中国の企業や個人事業主が、アリババとネットプライスドットコムが提供するサイトを通じて、商品を購入できるようになっている。

これにより日本企業側は、「中国で商品を販売しようとする際、最も難しい取引先の開拓ができるようになる」(アリババの日本法人代表取締役社長の香山誠氏)。また、日本企業が最も気にする点の一つである代金決済に関しても、中国のデビット方式の決済サービス「Alipay(アリペイ)」と「銀聯(ぎんれん)」により決済。中国への国際配送や中国国内での配送、通関業務代行などのサービスも提供する。

28日東京都内で開かれた記者会見で、アリババ日本法人代表取締役社長の香山誠氏は、「BtoB取引サイトのアリババの登録会員数は3,000万、BtoC・CtoC取引サイトのタオバオは170万の出店者数があり、多くの登録者・出店者が日本の商品を輸入したいと考えている。中国のEコマースの市場規模は年々急激に伸びており、今回の新サービスにより、この市場に参入するための壁がなくなることになる」と述べた。

中国のEコマースの市場規模は年々急激に伸びている

ネットプライスドットコム代表取締役社長兼グループCEOの佐藤輝英氏も、「2009年1月からの3カ月のテスト期間中にも、中国側から月間平均約750件、総数で2,363件の商談が寄せられた。特にアパレル、ベビー用品、時計・アクセサリーなどの人気が高く、中国のセラー(企業・個人事業主)の実需は大きい。中国側からは、サイトを通じ日本のオンラインショッピングのように日本企業の製品を買うことができるようになっている」とサービスの利点を強調した。