日本文藝家協会は15日、Google Book Searchに関する米国での著作権訴訟の和解案の効力が日本の作家らにも及ぶとされている問題で、「日本の著作権者と出版各社を大混乱に巻き込んだ」として、Googleに対し抗議する声明文を発表した。

Googleでは、米国内の図書館から提供を受けた膨大な書籍の全文をデータベース化し、ネットワーク上での検索・閲覧を可能にするGoogle Book Searchを提供している。これに対し、米国出版社協会(Association of American Publishers)と作家・出版社らは、著作権を侵害されたとして集団訴訟を提起していた。

その後、2008年10月に無断でデジタル化した書籍には解決金を支払うなどとする和解案で合意。だが日本文藝家協会によれば、この和解案では、著作権者がGoogle側に何らの通知も行わなければ、自動的に和解案記載の条件を原則として受け入れて和解に参加した者とみなされる。同社が将来にわたって著作権者の2009年1月5日以前に出版された著作物について、デジタル化(複製)、ネットワーク上での検索への利用(送信可能化、公衆送信)、データベースへのアクセス権の販売、今後開発されるその他の商業的利用までできる権利を有することとなっている。

これに対し、同協会では「日本の著作権者が何も知らないか、あるいは何も積極的な行為をとらないままでいれば、日本の著作権法上違法として許されない行為を承認したものとみなされる」と指摘。

「米Google社の提供するネットワークサービスの巨大さ、全世界に広がる利用者の膨大な数、世界中のどこからでも利用できる利便性などの特殊性に鑑みれば、同和解の結果が米国内のみならず、全世界の著作権制度・訴訟制度をそれぞれ異にする国々の著作権者をも、米国の法律・手続により一方的に拘束することとなり極めて不当」と和解案への反対意見を表明した。

さらに、「今回の和解案は、私たち米国外の著作権者の協力できるような性質のものではない」と結論付け、「私たちは、日本グーグル社が日本で書籍のデジタル化を進めるにあたって日本の著作権法遵守の姿勢を引き続き保つことを求める」としている。

日本文藝家協会では「当面の最低限の防衛策」として、会員や著作権管理委託者に、Googleから提示された和解案に応じたうえで、個々のデータを削除する要求を選択するように勧めることにしている。