米国の半導体ベンダCypress Semiconductorの日本法人である日本サイプレスは4月8日に東京で記者会見を開催し、照明用LEDの駆動用PSoCマイコン「PowerPSoC Intelligent LED Driver」の供給を開始したことを発表した。照明用LEDアレイのコントローラとドライバを1チップに集積した製品である。記者会見では、日本サイプレスで本部長 チャネル営業・営業支援を務める吉澤仁氏が説明にあたった。

「PowerPSoC Intelligent LED Driver」のパッケージとブロック図(一部のみ)

日本サイプレスで本部長 チャネル営業・営業支援 を務める吉澤仁氏

PSoCマイコンは、8ビットのCPUコアに周辺回路のほか、アナログ基本回路ブロックのアレイとデジタル基本回路ブロックのアレイを内蔵したマイコン。ユーザーが開発ツールを使ってアナログ基本回路ブロックとデジタル基本回路ブロックを選択し、機能をカスタマイズできることを特長とする。マイコンと外付けのアナログ半導体およびデジタル半導体を組み合わせて目的のシステムを構成するよりも、部品点数とプリント基板占有面積を減らせる。量産規模が少ないシステムや仕様の一部を調整しながらを開発したいシステムなどに適する。Cypressは2003年にPSoCマイコンを開発して販売を始めてから、これまでに累計で5億個を超えるPSoCマイコンを販売してきた。

PSoCマイコンの概要

記者会見で紹介した新製品はLED駆動回路とPSoCマイコンを1チップのシリコン(ダイ)にまとめたもので、駆動チャネル数および内蔵MOS FET(LED駆動用FET)の仕様の違いによって6種類の品種がある。駆動チャンネル数は4あるいは3、内蔵MOS FETの仕様は電流1Aあるいは電流0.5A、なし(LED駆動用FETを内蔵しない)である。価格は公表していない。パッケージは56ピンのQFN。

4チャネルのLED駆動用FETを内蔵し、FETの駆動電流が最大1Aの「CY8CLED04D01」の場合、LEDの駆動用に定格電圧が32VのローサイドnチャネルMOS FETを内蔵する。32Vの定格だと、直列接続で最大7個のLEDを駆動できるとする。MOS FETのオン抵抗は0.5Ω(電流1A)。16ビットと高分解能のPWM調光回路を内蔵しており、異なる発色のLEDチャンネルを組み合わせることで微妙な色合いを調整できるという。例えばダウンライトへの応用例を示していた。赤色LED、緑色LED、青色LED、琥珀色LEDを組み合わせて色温度を2500K~10000Kの範囲で調整する。

「PowerPSoC Intelligent LED Driver」の内部ブロックと概要。PSoC側はブロックフラッシュメモリを内蔵したフラッシュマイコンで、パワー側(ブロック図の下側)は4チャネルの16ビットPWM方式LEDドライバ

「PowerPSoC Intelligent LED Driver」を利用したLED照明システムの回路例(外付けのAC/DCコンバータによって直流32Vの電源を生成し、LEDのバイアス電源とする。黄色い領域がPowerPSocの回路部分。内蔵のDC/DCコンバータによって外部電源の32Vを内部電源の5Vに変換している)

ダウンライトへの応用例。赤色(RED)LED、緑色(GREEN)LED、青色(BLUE)LED、琥珀色(AMBER)LEDを組み合わせて色温度を2500K~10000Kまで調整する

記者会見ではこのほか、開発キット2品種と開発ツールソフトウェア「PSoC Designer」を使って開発作業の一部を披露してみせた。異なる発色のLEDを組み合わせて色合いを変化させ、CIE色度図における設定値を決める工程である。LEDの発色を微調整し、所望の発色が得られたところで設定値を格納する。

開発キット2品種の概要(上はスターターキットの「CY3268」。入門用である。価格は60ドル。下は本格的な開発キット「CY3267」。価格は175ドル)

スターターキット「CY3268」を動かしたところ(キットの説明にあたったのは日本サイプレス技術部の松添信宏氏)

開発キット「CY3267」の実物(コントローラ搭載のメインボードと、LED搭載のサブボードに分かれている)