NECディスプレイソリューションズからフルHD対応の液晶ディスプレイ「MultiSync LCD2690WUXi2-BK」が発売された。Adobe RGB比107%、NTSC比102%という広色域を実現し、従来よりも色再現性が大幅に向上しているのが特徴。ここでは、その実力と魅力を紹介していこう。

主な仕様 [画面サイズ] 25.5型   [表示解像度] 1920×1200   [輝度] 320cd/m2   [コントラスト比] 1000: 1   [入力端子] DVI-D(HDCP対応)、DVI-I(HDCP対応)、ミニD-SUB15ピン   [サイズ/重量] W589.8×H444.2~594.2×D306.0mm/約12.8kg(スタンド含む)   [NEC得選街価格] 197,400円

プロの厳しい要求に応える高画質を実現

PCを使用する際に、もっとも長時間接するデバイスのひとつが液晶ディスプレイだ。とくにプロのクリエイターにとっては、作品の完成度や作業効率に大きく関わってくる大切な道具である。それだけに、製品を購入する際は、少々値が張っても品質の高いものを選びたいところだ。

NECディスプレイソリューションズから発売された「MultiSync LCD2690WUXi2-BK」は、視野角が広く斜めから見ても色の変化が少ないIPSパネルを採用した液晶ディスプレイ。クリエイターから評価が高かった「LCD2690WUXi」の後継モデルにあたり、画質は前機種からさらにブラッシュアップされている。

「スタンド高さ調節機能」を搭載しており、ディスプレイを最大150mm上下に調整できる

なかでも特筆すべき点が、前機種より大幅にアップした色再現性。DTPなどで用いられている色空間「Adobe RGB」比で107%という広色域を表現できる。デザイナーやフォトグラファーにとっては大きな武器となる性能だといえる。

その他の主な機能は従来機のスペックをそのまま受け継いでいる。表示解像度はフルHDに対応した1920×1200で、視野角は左右上下ともに178度を実現。映像入力端子は、従来通りDVI-D(HDCP対応)、DVI-I(HDCP対応)、ミニD-SUB15ピンの3系統を搭載しており、複数のPCを接続して切り替えながら使用できる。

映像入力は、DVI-D(HDCP対応)、DVI-I(HDCP対応)、ミニD-SUB15ピンの3系統を装備している

正確な色を再現する高品質液晶パネル

現在、PCで使われている液晶ディスプレイは、sRGBという色空間に対応したものがほとんど。Adobe RGBは、そのsRGBの赤とグリーンの領域を大きく拡大した色空間であり、あざやかな赤い花やエメラルドグリーンの海などをより自然な色合いで再現することができる。そこで、本製品の実力を見るため、デジタル一眼レフカメラのAdobe RGBモードで撮影した画像をPhotoshopで表示してみることにした。

サンプルとして使用した画像は、明るいエメラルドグリーンの湖と赤い花が写った風景写真。一般的なPCのディスプレイでは、湖の色が実物より少しくすんだ色になってしまうが、本製品で表示した場合は湖本来のあざやかなエメラルドグリーンで表示された。また、sRGB対応ディスプレイでは飽和してのっぺりした色になってしまいがちな花の赤も、しっかりと階調が表現されており、花びら1枚1枚をきちんと識別できる。

画像には、強い日差しが当たった白い壁や、暗いシャドウ部も含まれているが、いずれもきちんと再現されている。特に驚いたのが、シャドウ部の表現。黒の締まりがよくシャドウの階調が豊かなため、sRGB対応ディスプレイに比べて画像に奥行きが感じられる。白飛びギリギリの白い壁も、表面のテクスチャをしっかり確認することが可能だ。

Adobe RGBモードで撮影した画像をフルスクリーンで表示したところ(画像は比率4:3のものを使用)

エメラルドグリーンの湖やあざやかな赤い花など、一般的なディスプレイでは再現が難しい色がきちんと表示されている