次世代のデジタルフォト技術を語るケビン・コナー氏。Adobeではプロフェッショナル デジタルイメージング プロダクト プロダクトマネージメント担当バイスプレジデントという役職である

3月26日から開催されているアジア最大の写真関連商品の総合展示イベント「フォト イメージング エキスポ 2009」(以下、PIE2009)のPIE2009 エンジョイフォトステージにて、「フォトグラフィーにおけるPhotoshopと次世代デジタル技術の動向」というトークイベントが行われた。壇上には米Adobeのケビン・コナー氏が登場し、Photoshopとデジタルフォトの未来について、デモ映像を交えながら熱く語った。

コナー氏は米Adobeにて10年以上に渡りPhotoshop開発チームの主要メンバーで、デジタルイメージング関連のテクノロジーの全般に関わっている重要人物。このステージイベントでコナー氏は「次のPhotoshopだけの話ではなく、現在アドビが研究中の次世代の技術について紹介したい。これらのデジタルイメージ最新技術の全てが、Photoshopに搭載されるわけではない」と前置きした上で、様々な新技術を紹介した。

講演でケビン氏が強調していたのは、カメラの新しい役割。「デジタルカメラはただ単に画像データを記録するという役割から、自分の欲しい画像データをPC上で作るための、メタデータを集める役割に変わる」という部分。ケビン氏はこうした流れをコンピューテイショナル・フォトグラフィーと呼び、多数のレンズを装着したカメラで多くのメタデータを所得して、画像作成に利用するというアドビの新しい研究(ライトフィールド)を紹介した。多くのレンズで、多くのデータを記録することにより、パースペクティブを変えることも可能な3次元空間的なデータを持つ画像をPhotoshopで作り上げることができるというのだ。

多数のレンズでより多くのメタデータを所得し、画像作成に利用

web上のオンラインライブラリに多くのユーザーが関連したデータを共有し、それを活用することで実現するかもしれない「どこまでも拡大できる、奥行きある風景画像」。動画データの重要な部分と、重要度の低い部分を自動的に判別し修正が行われる「より簡単で自然な動画手ブレ補正」。メタデータの変更部分を検出して、画像の改ざん部分を自動的に見抜く機能。これら様々な次世代の画像技術が紹介された。

講演の最後にケビン氏は「これまでの過去10年間の変化よりも、これからの10年のほうが、デジタルフォトに関する技術は大きく進歩するだろう」と語った。なお、マイコミジャーナルでは、ケビン・コナー氏の独占インタビューを後日掲載予定。

透視、メルカトル、立体とも違う、既存画像の最適な再加工の手法も研究されている

データの重要度を自動的に測定し行われる手ブレ補正